「レールから外れた人生の行方はまるでわからない」。
人種を越え、国境を越え、疾走する男に安らぎの地はあるのか……?! |
先物取引に手を出し、失敗。多重債務に陥り、仕事も家庭もすべて失い、夜逃げホームレスに転落していた木崎耕平。そんな彼にある日、男が声をかけてきた。「まとまった金、欲しくないか」。
日本行きを望むモンゴル人女性と偽装結婚すれば、見返りは50万。耕平は話に乗った。モンゴルで紹介された女性は、24歳のダワ。ラマ教に則って厳かに執り行われる結婚の儀式、酒あり歌ありの心温まる披露宴。しかし、翌日、ダワとのデート中に突如、耕平が命を狙われたことから、物語は加速度的に動き始める。
油断すれば、即、死の餌食。国境警備をすり抜け、飛び交う銃弾をかいくぐってモンゴルを駆け抜け、大国ロシアを突っ走る耕平とダワ。「どんなことがあっても、きみを守るから」。打算から始まった出会いでもいい。恐怖と不安と血にまみれたギリギリの状態で、心に傷持つ同士だからこそ分かち合える瞬間が、鮮やかに輝く。
著者自ら「作家生活14年の中で一番の手応え」と語る意欲作だけに、本作品、読み応えは相当なもの。圧倒的なスピード感に完璧にヤラレた。時間も何もすべて忘れて一心不乱、頭の芯がジーンと痺れる陶酔と緊迫の極致。そして訪れる静寂「Chill
Out」。徹底したリアリズムで読ませる盛田氏ならではの、醍醐味だ。 |
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