プロ野球界で35年。野球一筋だった男が59歳で第二の人生に飛び込んだ!
指導者道に人生を賭けた、天才打撃コーチの「人間力」とは。
新年1月19日より全6回放送予定のNHK土曜ドラマ『フルスイング』の原作
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「たとえ無駄だと知っても、あきらめてはいけない」。夢を追い続けたひとりの男が、平成16年7月1日、膵臓癌によってこの世を去った。高畠導宏(たかばたけ・みちひろ)。享年60歳。福岡県太宰府市にある私立筑紫台高校社会科の教師になって1年余。型破りの新人教師として生徒に慕われていたこの高畠先生こそ、プロ野球界で「伝説の天才打撃コーチ」と呼ばれたその人である。50代に入って打撃コーチのかたわら通信教育で5年かかって教員免許を取得、「高校球児を指導して甲子園制覇を果たす」夢を胸に教育界に転身。しかし、アマ規定により、プロ野球を辞めて2年間は高校野球指導ができない。その2年が終わるまで、残すところあと半年であった。
高畠氏の教え子には、中日の落合監督、メジャーの田口、イチロー、ロッテのサブローや巨人の小久保など日本球界が誇る名選手も多い。個々の選手のスタイルを尊重し、決して押しつけない指導に定評があった。選手の悩みや迷いを受け止め、個性に応じた多彩な練習アイディアで長所を引き出す。さらに「相手投手のクセ」を見抜き、球種・配球を読んで攻略する頭脳野球を伝授。選手のメンタル面を支えるために、心理学やカウンセリングまで学び始める。野球に対する情熱と向上心、さらにひとを育てることへの飽くなき探究心は、追随を許さなかった。
「若い子たちに将来に向かって生きる力を与える、そんな存在になりたい。頑張れば何事もやれるということを教えてやりたい」。このひとならばできる、と思わせるエピソードが満載だ。念願の高校教師となって、さあこれら、というときに亡くなったことが心底惜しまれる。
球団の浮沈、時代のスター選手、「サイン盗み」の実態など日本プロ野球界の変遷を背景に、多くの関係者の声を織り込み、緻密な筆致で高畠氏の人間像を浮き彫りにしたスポーツ・ノンフィクションである。
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