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●担当●

豊川堂カルミア店 林毅

2008年8月21日
『告白』
湊 かなえ
双葉社
1,470円(税込)
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「あら、髪切ったね」
うちのお店には女性ばかりなので、こんな挨拶を日頃からよく耳にします。うちの娘も髪切ると「どう?」なんて言ってくる年頃(小六ですけど)になったのだけれど、ちょっとくらい雰囲気が変わっても私が気づかないものだから、いつも「鈍感だねえ」なんて言われてしまう。女性というのはちょっとした変化も気にして欲しいということなんだろうけど、たいして関心もないからか私には難しい挨拶であります。

小説推理新人賞というと、ちょっとばかり雰囲気の違うミステリが多くていつも楽しみで、(正統派ミステリといえば乱歩賞かもしれませんが)なかなか味のある作品も多いのですね。本多孝好さんや香納諒一さんもここから出身だし、そういうところには私、「敏感」なんですけど。
で、今年の受賞作、これもなかなか個性的で味のある作品でありました。

 ある中学校の三学期の終業式の日、担任の女性教師のホームルームでの話。先生は今日を限りに先生を辞めるのだと、生徒たちに告げる。学校のプールで四歳の一人娘を事故で失っていて、それがきっかけなのか? と生徒に問われ、先生はこう答える。

「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです」

 犯人と名指しされた生徒AとB。彼らのこれまでの行動について先生は語っていく。先生は復讐のために二人を殺害したりはしなかったのだけれど、ある方法で(いかにも教師らしい(?)教育的な復讐方法で)、自らの裁きを下したのである。
特筆すべきは語り口のうまさ。先生の話しぶりは実に教師らしいのだけれど、妙に毒々しくって、それでいてユーモラスなところもあって、(単調になりそうな独白形式でありながら)なんとも言えずそれだけで読まされてしまう。
第一章の部分が受賞した短編「聖職者」で(これだけでも楽しめるけれど)、物語には第二章以降が用意されていて、長編小説になっていく。先生の復讐劇のその後を、同級生、犯人、犯人の姉と、それぞれが同様に独白で語っていく。そこから見えてくる事件の真相。予想外の結末というのはミステリには欠かせないけれど、まさかこんな形で(先生は直接手を下すことなく、犯人の二人も死なないまま)復讐劇が完結してしまうとは、いやはや驚き。
登場人物は歪んだ嫌なタイプばかりだし、とくに先生は陰鬱でねっとりとしていて、でも冷徹に復讐を遂行する先生の姿には、変に感心させられた。物語の後味も良くはない話なのだけれど、なぜだか不快という感じはない不思議な物語でした。

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