

- 『ピーター・ノースの祝福』
- 渡辺 やよい
- 幻冬舎
- 1,680円(税込)

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本にカバーを掛ける派ですか?掛けない派ですか? 僕はしないです。
僕はあらゆる時間に本を読みます。ご飯を食べている時、電車に乗っている時、バイトの休憩中なんかはもちろん、歩きながらでさえ本を読みます。時々自転車にぶつかりそうになりますけど(笑)。僕の場合、「何かをしながら本を読む」ではなくて、「本を読みながら何かをする」なんですね。
でも、人に何を読んでいるのか知られたくないと思ったことはありません。むしろ今読んでる本を宣伝したいような気持ちもあります。電車なんかでカバーを掛けて本を読んでる人がいると、何読んでるんだろうって気になりますよね。ああいう不健康な気分にもさせたくないですしね。
汚れてもそんなに気にならないし、それにカバーをしたまま本棚に入れると、どこに何があるのかさっぱり分からなくなるしで、必要ないです。皆さんはどうでしょうか?
とまあ何でカバーの話かというと、今回紹介する本は、ほとんどの人がカバーをしたくなるのではないか、と思ったからです。もちろん僕はしないで読みましたけど。
表紙がなかなか凄いんです。ここの画像で分かりづらかったら、もう少し大きなものを探してみてください。ね、ちょっとカバーなしでは敬遠してしまうような絵でしょう?
でもそこで引いてはいけません。何となくこみ上げてくる羞恥心を脇に置いて、レジへ向かってください。
四編の短編が収録されています。すべて男性視点で描かれた恋愛小説ですが、恋愛小説と言い切ってしまっていいのかはわかりません。愛だの恋だのという以上に深い人間関係が描かれていると僕は感じました。「隣人愛」あるいは「人間愛」とでも言うべき関係を恋愛風にアレンジしたような印象でした。その二人の間にしか存在しない、まだ名前のついていない関係性で結ばれた男女のあり様が見事に描かれていて素晴らしい作品です。
それぞれの主人公のキャラクターがまったく違っていて描き分けが見事で、それは女性の側も同じです。「うん」はアイドルの卵の大ファンとその子のことが好きな青年。「百年の梅干し」はちょっと変わった夫婦。「ピーター・ノースの祝福」は介護福祉士と超絶駄目ニートの青年。「虫の子 花の子」は新入生の女の子と小学四年生のデブの少年。こう書くとトーンがバラバラな話みたいだけど、全体としては非常にうまくまとまっていて、作品としての統一感もいいと思いました。
一番好きなのは「百年の梅干し」です。ちょっと変わった夫婦の出会い、主人公の秘密、子どもや犬のこと、妻の母親のこと、梅干しを浸けることなんかを書いているだけなんですけど、いい話なんです。のほほんとしているのにどことなく力強い。変わっている人が大好きな僕としては、さつきという女性の造型も好みで、読んでいて面白かったです。
「うん」だけはあんまり好きになれなかったけど、残りの三つは本当に素晴らしい出来だと思います。表紙の絵には躊躇するかもしれないけど、試練なんだと思って乗り越えてください。











