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- 『鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)』
- 奥泉 光
- 集英社
- 1,300円(税込)

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こんな人はなかなかいないような気がするんだけど、僕は生まれてこの方レンタルビデオショップの会員カードって持ったことなくって、つまり映画も音楽も僕の日常とはかけ離れた場所に存在するってことで、音楽は店で掛かる有線がほぼすべての情報源で、だからジャズって言われても全然イメージ出来なかったりするんだけど、つまり何が言いたいかって、本作は一応ジャズの話でもあるんだけど、ジャズのことなんか全然知らなくても十分楽しめるんです、っていうこと。
ジャズピアニストであるフォギー(本名は希梨子だけど、霧子って名乗ってる)は、いつものようにジャズバーでピアノを弾いていると、いるはずのない「柱の陰の熱心な聴き手」を初めて目撃することに。彼女(「柱の影の熱心な聴き手」は女性です)の後を追いかけるフォギー。噛み合わない会話を交わした後、彼女の名前を知ることになる。なんと彼女は霧子というのです!
同じ名前だから驚いたのではありません。フォギーには、ベルリンで亡くなった「霧子」という祖母がいるのです!
それからすったもんだを経て、なんとフォギーは1944年、終戦間際のベルリンへひとっとび(タイムスリップです)!そこで霧子と一緒に生活をすることになるんだけど、まあやっぱりすったもんだありまして...。みたいな話です。って内容紹介になってませんけど。
この作品の一番面白いのは、フォギーの語りなんです。とにかく一文が長いのが特長なんだけど、全然ダラダラした感じはしません(僕の冒頭の文章は、本作の文章の雰囲気を真似ようとしてみたんだけど、やっぱうまくいかないですね)。正直、ストーリーなんかどうでもよくなってきます。この、フォギーのなんとも捉えどころのない語りを読んでいると、それだけで楽しくなってきます。
それに、ジャズだとか戦時下のベルリンだとか、僕には興味のない(というかむしろ苦手な)状況が舞台だし、「ロンギヌスの石」だの「オルフェスの音階」だの怪しげな話が出てくるのに、全体的にホワホワ~ンとしてるっていうか、読んでて馴染む話なんです。
長いし高い(文庫なのに1300円!)けど、オススメです。
というわけで最後になりましたが、これから一年間、拙い文章をよろしくお願いいたします。なるべくいろんなジャンルの本を紹介できればなぁ、と思います。しかし、文章を短く書くっていうのは難しいですねぇ...。




