2月13日(火)

 とある書店さんにて。

「杉江さんさ、本の値段どう思う? 高い? 安い? えっ安いと思ってる? ほんと? だってさ、例えばテレビゲームがあるでしょ。杉江さんは僕と同じくらいの歳だから、初めから知ってるよね、テレビゲーム。そのゲームの値段、この20年でどう? 同じくらいか安くなってるよね。でさ、内容はどう? ゲームが出来た頃のギザギザの画面と今の画面、すごい進歩してるよね? じゃあさ、携帯電話はどう? 値段も下がっているし、中味もどんどん進化してるよね。でね、本や雑誌はどうかっていうと値段は同じか上がってるよね。ジワジワと。でもさ、中味はずーっと同じままだよね。活字や写真が印刷されているだけでさ、進歩してないよね。その同じものが同じような値段で売ってるって、お客さんはどう思うかな。やっぱり高いと思うんじゃない。

例えばさ、今の単行本がだいたい1500円くらいだとして、これが500円とか800円で売っていたらどう思う? 杉江さんだって今は我慢している本を買うでしょ? やっぱりね、今は割安感がないと売れないと思うの。それくらいシビアになってるの。お客さんすぐ『文庫になってませんか?』とか聞いてくるし、パラーっと見て後ろの値段見て置くよね。だいたい新刊が段ボールで届いて、僕たち書店員が、これいくらだと思う?ってやったらほとんどの値段当てられるよね。もしくは思っているより高いか。

だからね、売れない売れないといいつつ、この10年ほとんど何もやってきてないわけでしょう。いやもちろんPOSとか入れてデータって叫びだしたけど、それをやっても売上は下降しているんだからもしかしたらそういう方法が失敗だったのかも?って考え直す時期が来たんじゃないのだかな。それでね、値段のことなんだけど、これからはもっと値段を下げて、それで買わすような戦略も必要だと思うんだよね。僕が思うのはだいたい今1500円の本を1000円とか800円でね。その分売れるようになればいいわけだし、出版社はもっとその辺のコスト削減を努力した方がいいと思うんだよね。

でもね、安くするために今のクオリティーを下げちゃダメだよ。まあ本文用紙くらいは安いものにしても良いけど装丁や表紙まわりは大事だからね。これがこんな安いのか!ってお客さんに思わせないとダメだから。

なんでこんなこと言っているかっていうとさ、このままいったら10年先はあっても20年先はないと思うんだ。だからさ、これからもっともっと攻撃的に変えていかないといけないと思って。でもさ、今、上にいて権利を持っている人たちは、あと5年とか10年自分さえ逃げ切れればいいと考えている人が多いんだよね。そりゃそうだよね。僕らだってその歳になったら、そう考えるかもしれないし。でもさ、僕らの年代はもっと闘わないといけないよね、そういうおっさん達と。

なんかさ、僕ら割りと保守的で黙っちゃうじゃない。でもそれじゃ未来がないよ。コンビニの雑誌販売に関しても、新古書店に関しても、図書館に関しても、出版社はもっと本を大事にして闘っていかなきゃ。昔はもっと威張っていたんだよ、出版社って。どうしてこうも数字数字、今だけ売れる方になびいていくようになっちゃったのかな? とにかくもっと本と本屋の力を信じて、未来のことを考えて動いて欲しいのよ。杉江さんも頑張ろうよ」

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