8月17日(金)

 早朝、妻に揺り起こされる。
「あんた前日抽選いかなくていいの?」

 明日の試合はアウェーの甲府戦で、甲府はなぜか無謀にも国立競技場で開催するという暴挙に出たため(いやおかげで観戦できるからこちらから見たら幸せなんだけど)前日抽選なんてないのである。しかし妻にはアウェーとも、国立とも言えないので(言ったら行けなくなる)ホームさいスタと申告してあったのである。

しかししかしである。そんなことは夢うつつのなかですっかり忘れている。忘れているどころか結構良い夢を見ていたところを起こされたから怒りを感じたりしてしまった。
「おまえ、明日は国立なんだよ、前抽なんかねーんだよ!」

とほざきそうになった瞬間に頭の中がグルグル回りだす。やばかった。非常にやばかった。ゴールラインギリギリでクリアーしたDFのようだ。

「うーん、ありがとう、ハニー。でも今日は、他の人が行ってくれているんだ」

あわててそう言い直し、改めて眠りについたのである。

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 会社にて見本本の取り扱いでバタバタしていると、携帯電話が鳴る。おお! 今日は地方小のKさんとランチミーティングだったのだ。あわてて新宿に向かい、ライオンで食事。「実体のないものは信用しない」という結論に達す。

 再度会社に戻ってバタバタの続き。その頃、営業仲間の京都の山ちゃんは、300冊の雑誌を3箱の段ボールに詰め、カートに載せて新幹線の人となっていたらしい。何だか昨日搬入予定だった商品が事故で付かず、どうしても今日中に必要な部数を自分で運んで来ていたのだ。

 夕方その山ちゃんから連絡が入る。日帰りなんですが、帰りの新幹線までどこかでお茶をしませんか? 再度新宿に出て、お茶。営業の仕事というのは、こういうトラブル処理のときに能力を問われたりするのだが、本来それはマイナスの穴埋めだから、会社や取引先からまったく評価はされない。すべて普通にやって当然というのがつらいよね、という結論に達す。

 京都に帰る山ちゃんと別れ、辺境作家の高野秀行さんと落ち合う。二人で池林房に向かうと、そこに編集長に椎名さんがいて、辺境作家同士でありなが今までお会いしたことがなかったとかで、お二人を引き合わす。

 目の前に自分の尊敬する作家が二人いるというこの状況があまりに現実感がなく何だか夢のなかにいるような気分。高野さんとは旅の話、本の話などとことん話し込む。高野さんがこぼした「この業界は気づいてもらうまでが本当に大変ですよね」という、まるでご自身がUMA(未確認生物)のような言葉が、深く印象に残る。でも、まだまだもっと知られるべきだと思いますよ、高野さんの本の面白さ。

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