10月5日(金)
相棒とおると月一のフットサルで会う時、10冊程度の本を勝手にセレクトして貸し出している。とおるとの付き合いも15年になるので、嗜好はだいたいわかっているつもりで、そんななかで絶対これはハマるだろうと思いつつ、先月こっそり仕込んでおいたのが黒川博行の著作である。
建設コンサルタントの二宮と桑原を主人公にした『疫病神』(新潮文庫)、『国境』(講談社文庫)、『暗礁』上下(幻冬舎文庫)の3作。とおるは一時期関西に転勤していたことがあったから、僕以上に地名に詳しいし、この関西弁のやりとりに、ハマるのではないか。
しばらくするととおるから頻繁にメールが届きだした。
「疫病神良いね〜、だいたい地名もわかるし、二宮の事務所は転勤時の勤務先徒歩1分だよ。通勤にはありがたいかぎり、感謝感謝」
「ああ早く先が読みたい、でも通勤で眠れないから眠い」
「『国境』本日からスタート。帯見て喜んで、上下二段で二度喜んだ」
「『暗礁』でまたふたりに会えました。最高です」
予想どおりにはまったようで大笑い。電話をしたらすっかり関西弁に戻っているではないか。
そのとおるも愛する黒川博行の新刊『悪果』(角川書店)が本日の通勤読書。これは二宮・桑原のシリーズではないのだが、どうしようもない捜査四課の暴力団担当の刑事ふたりを主人公とした警察ノワール小説。
前半部分のまともな捜査シーンだけでも充分楽しいのに、後半から一気に事件が自分の身に降りかかりだすと、最後の最後まで息がつけない展開に。もちろん黒川博行の専売特許である関西弁も相変わらずで、こちらも満員電車の通勤が苦にならないほど集中の一気読み。たぶん誰かが僕のケツを撫でたとしても、今日はずっと撫でられていたことだろう。いやー、面白い。早くとおるに貸してやらなくては。
会社に着いて、バタバタとデスクワーク。そして営業へ。今日は千葉から船橋を回る。
船橋のA書店では安田ママさんがアルバイトで復活していて、再会を喜ぶ。
「この二年半くらいで書店の仕事が様変わりしていてビックリしました。それと一段と売れなくなりました?」
あまりに恐ろしい感想に思わず何も返せなくなってしまった。そうなんですママさん。文芸書はまったく売れなくなりまして、書店さんもコンピュータ化が進み、人も減って……。
夜は飯田橋に戻って、第一七回鮎川哲也賞(山口芳宏『雲上都市の大冒険』)と第四回ミステリーズ!新人賞(沢村浩輔『夜の床屋』)の受賞パーティへ。毎年のことだけれど、作家や評論家がいっぱい集まり大盛況である。本屋大賞も頑張らないと。