10月24日(水)炎のサッカー日誌 アジア激闘篇
仕事をしていても、心ここにあらず。心だけでなく、魂も、マブイもすべて埼玉スタジアムにある。そして気が付けば夢遊病者のようにそちらに足が向いている。何時に埼玉スタジアムに着いたって? そんなこと聞いちゃ行けない。なぜなら我らは、サラリーマンである以前にレッズサポなのだから。登山家が「そこに山があるから登る」ように我らレッズサポも、そこに試合があるから駆けつけるのである。当然なのである。
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見慣れないユニフォームを来たチームがピッチに顔を出すと、まるでバレーボールの応援のようなバルーンスティックを叩く「バンバン」という音が響き出す。その音をあっという間にかき消すように我らがレッズのコールが始まった。ゴール裏は真っ赤に染まり、そこに白地で「WE ARE REDS」の文字が作られる。自分たちでは見えないけれど、選手にはこの気持ちきっと届いているだろう。闘っているのは君たちではない。僕たちすべてなのだ。
最悪1対1の引き分けで決勝戦への扉は開くのであるが、そう簡単ではないことは、城南一和の激しいタックルや正確なパスを見ればすぐわかる。ここ最近のJリーグでは味わうことのできなかった「闘っている感」がスタジアムを覆いだすと、コールの声量もいつも以上に増し、サイドスタンドに取り付けられた屋根に反響しこだまする。埼玉スタジアムのゴール裏は、飛び跳ねるサポーターによって揺れていた。誰も彼もが真剣に闘っていた。
僕は前半の半ばからすでに意識が飛んでいた。心と身体がもはや自分のものではない感じ。とにかく声を出し、選手を鼓舞することしか頭にない。先制し、追いつかれ、逆転され、そして追いついた。2対2になり延長戦に入った頃には、自然と涙が溢れて止まらなくなってしまった。
目の前で闘っている赤いユニフォームを来た僕らの選手は、1%足りとも力を抜くこともなくボールを追っている。フラフラの阿部が身体を投げ出してボールを奪えば、闘莉王に変わって入った堀之内が恐れることなくヘディングでボールをクリアする。そこにはかつて負けて、負けて、負けまくった浦和レッズの姿がみじんもなく、ただ勝つことだけを宿命として背負った選手たちが、僕たちの声を背に受け、ピッチを走り廻っている。
結局90分+30分の延長では決着は着かず、非情なPK戦に突入する。古くからのレッズサポなら誰もがPK戦に不安を感じたし、かつての名古屋戦や鹿島戦の哀しみが走馬燈のように駆けめぐったはずである。隣で観戦していた67才の母親は「お母さんもう耐えられない。死んじゃうかも」ともらしていたが、しかしたったひとりボールをセットし、ネットに突き刺すことだけを考えている選手にはそんな弱い気持ちはなく、ポンテ、阿部、ワシントン、永井、平川の全員が決め、ついに決勝の扉を開けた。そして僕たちは泣き、叫び、抱き合い、拳を振り上げ、アジアナンバー1を目指す。あとひとつ。アジアのチームを倒す。