7月4日(金)

『さよなら渓谷』
吉田 修一
新潮社
1,470円(税込)
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 窓ぎわに座っているから、外の様子がよくわかる。本日も太陽が元気にギンギンしているではないか。都心アスファルトの上はおそらく35度を越えているだろう。

 外回りに出るか、出ないか悩みたいところだけれど、僕の仕事は外回りしかないわけで、強風のなかスポンサーのプレッシャーと残り日数を気にして、エベレストの山頂を目指すアタック隊の気分で会社から一歩外にでる。

 なぜ僕がこうしてまで本屋さんを廻るのか。もちろん注文が欲しいのはあるんだけど、それだけだったら電話でもFAXでもできるかもしれない。

「本ってさ。人が書いて、人が作って、人が売るんだからさ。もっと泥臭くていいと思うんだ」

 そんな話をしてくれたのは、青山のR書店Tさんなのだが、Tさんは都心の真ん中で、本屋さんのオヤジをやっている。お店が入っている高層ビルで働いているお客さんの趣味をたいてい把握していて「こんな新刊入りましたよ」と声をかけているのだ。何も下町だけが人情味溢れるわけでないのである。

 こういう話を棚前で伺いたくて、暑かろうが、寒かろうが書店さんを訪問している......なんて格好良いことを書きたいが、やっぱり暑さに負けて、国道246号沿いであやうく遭難しそうになる。

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 通勤読書は、『さよなら渓谷』吉田修一(新潮社)。
 もし今、何か単行本の小説を買おうかなと悩んでいる不特定多数の人がいるなら、僕はこの本をオススメしたい。ページをめくる喜びというか、小説の力というか、そういうものがビンビン伝わってくる作品。

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