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WEB本の雑誌>【えり抜き本の雑誌】蔵出し本の雑誌

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本の雑誌のバックナンバーから面白記事をピックアップ!
読み逃した人も読んだけど忘れちゃった人も、さあ、読んでみよう!


本の雑誌251号(2004.5)より転載 [ 営業の星チャレンジ試験だ! ]
本文関連書籍
 
『本の雑誌 251号』(2004年5月)
― トンカチ汗ふき号 ―
『本の雑誌251号』
【本の雑誌社】
530円 (税込)


ご購入希望の方はこちらをご覧下さい。
 


☆続いては、理想の営業を模索するチャレンジ問題だ。
問1から問6まで、版元営業が日々直面する試練にぜひ挑戦してほしい。はたして営業の星はどこにあるのだ!?

■作成委員■
A ヴィジュアル系営業マン
B 和田アキ子系書店員
C やさぐれ営業マン
D 合コン切望書店員



D 書店にとって理想的なのは、情報を持ってくる営業だよね。
B 基本中の基本ね。
D 自社の本すら満足に説明できない奴は論外。「この本、あの店ですごく売れてるんですよ」っていう話も、うちはうちで売りたい本を選んでるんだから、別にいいんだよ。それよりも、「あの書店で最近こんなフェアやってましたよ」みたいな、他店の情報が欲しい。沿線で伸びてるのはこんな店だとか、あの店の××さんが今度異動するらしいとか、噂話だけど有益な情報。
B 本の情報は、他にも手に入れる方法はあるからね。
D あるいは、実用書の版元なんだけど、他社本まで入れたきめ細かいフェアを考えてくれて、自社本がすごく少ないの。申し訳ないじゃない。そしたら「いえ、書店さんの売り上げが伸びるのが一番ですから。」そこまでやってくれたら全幅の信頼を置いちゃうよ。
B 素晴らしい。
C 殺し文句ですねえ。
A その人が営業の星のような気がしてきたなあ。
D 結局は信頼関係だからね。どんなに優秀な営業で、たくさん注文とったって、返品になったら何の意味もないんだから。
A 営業マンの評価って、注文数だけじゃどうしようもないですもんね。返品があるから。それとも書店さんにとっては、モノをくれるほうがいいんですか。
B うーん、タイミングだよね。
D 欲しい時に欲しい部数をくれるのが一番なんだよ。今、切れかかってる本を、「じゃあ持っていきます」「宅配便で送りますね」と。そういうマメな営業には、何かお願いされたら断らないよね。
C 難しいですよね。版元側から見ると、直送は経費がかかるってこともあるし。
B こっちは一度やれば次もっておねだりしちゃうしね。

問1 ものすごく品薄のベストセラーを、在庫をかき集めて直納しました。次回その書店を訪問するとき、どうしますか?
1、飯をおごってもらう
2、一杯つきあってもらう
3、自社フェアの発注をもらう
4、常備をとってもらう
5、携帯の番号を教えてもらう
6、携帯の番号を教える
7、貸しをテコにさらに貸しをつくる

――問1は、直納の貸しをどうやって返してもらうかですが。
A でもこれ、早めに言わなきゃ忘れられちゃいますよね。
D こっちがもう忘れてるのに、「あの時へそくり出したじゃないですか〜」とか言われたら、まあ番線印は押すけど、細かいこと覚えてやがるなって思うよ。
B 逆にあんまり早く来られても、「何こいつ、昨日の今日で」って悪印象になるかも(笑)。
A そのタイミングが知りたい。
D 一ヶ月か二ヶ月おいて、「あの時は迷惑かけちゃってすみませんでした、結局、足りました?」と控えめに思い出させるんだよ。
C うーん、勉強になるなあ。
A こっちは思い出してほしいから、つい恩着せがましく言っちゃうんですよね。
C この場合、普通に考えたら(3)でしょうね。
A 「この前どうでした?」とか言いながら、後ろに注文書がちらちら見えてたりして。
D 注文書を出すのは最後だよ。間に四方山話をはさみながら、ダメ押しにもう一回「今度そういうのがあったら事前に言ってくだされば何とかしますから」と言って、「で、今月のフェアなんですけど」と切り出す。
B たくみに恩を着せるんだ。
D あとは(4)かな。いずれにしても仕事につながるように。
B 常備の注文はいいね。細かくきっちりした仕事の感じがする。
A (1)(2)はマイナスでしょう。
D 男性の営業で、担当が女性だったら楽しいけどねえ。
――貸しがあるからって飯おごってもらうの?ヤな男だなあ。
D 一杯つきあってもらうとか。
――それもやらしいな。
C (5)は?
D いいねえ。「また何かあった時にすぐご連絡できるように」と聞きだす。
B 言い訳がましい(笑)。でも、携帯の番号はひとつのポイントだよね。
D 一見チャラそうだけど、実は仕事とつながっている。(6)もありだな。「何かあったら携帯のほうにご連絡ください」と自分の番号を無理矢理教えちゃう。いかにも真面目な印象を与える。
B 確かに、そう言われたら断りにくいよね。
――「休日でも夜中でも対処しますから!」
A 淡い期待が伺える(笑)。
D でも、ここでの大正解は、(7)でしょう。
B さらに貸すと。
――返してもらわないの?
D いずれは返してもらうかもしれないけど、その貸しをテコに信頼関係を作るんだよ。最終的にいつ行っても何か頼んだら番線印を押してもらえるところまでいくのが理想。
C この問題、正解が見え見えですけど。
――まあ、最初は簡単でいいんじゃないの。基本路線で。
D 書店員と信頼関係を築くということが、最も重要であると。それさえあればあとは何でもついてくる。

問2 怖い男性店長のいるA書店。何度訪問してもつれない対応で、相手にしてもらえません。どうしますか?
(1)さりげなく平台を整理する
(2)棚差しの本の帯やスリップを直す
(3)雪の日に行く
(4)日曜日の午前中に訪問する
(5)注文品をひたすら直納する
(6)挨拶だけして帰る
(7)妹の友達にお小遣いをあげて直納を頼む
(8)訪問をあきらめる

――問2は、書店員との人間関係の問題。つれない書店に、どうやって食い込んでいくか。
D 版元営業が一番きついのは、相手にしてもらえないことだよね。「注文書?そこに置いといて、あとで担当者に渡しとくから」って、何度行っても、ちゃんと話を聞いてもらえない。
B そういう場合はどうするの?
A 僕の場合は、(5)の直納でどうにか。二、三冊の注文があがってくるたびに持っていって、ちょっとずつ打ち解けていく。
D きっかけを作ることだよね。「あ、こいつがんばってるな」と思わせる。(3)はいいよね。大雨や雪の日は店も暇だし、わざわざ来てくれたんだから、ちょっとお茶でも飲もうかって気になる。
A 荒天の日は、あえて行きづらい書店に行けと。
C 郊外ならさらに効果的。
B あと(4)ね。日曜日は結構話せるから実は狙い目かも。荷物もないし。
C 休日に行くという選択肢は高ポイントですね。
D 逆に、忙しそうな時には、(6)も有効だね。「お忙しそうなんでまた出直します」って挨拶だけして帰る。わざわざ来てくれたのに悪かったなあって思うから。
A 優しいなあ。
D もうひとひねりして、忙しい時に、何気なく店内整理とかされてると、「おっ」と思うよ。
A それ、この店は汚いって思ってるように取られないかなあっていつも悩むんですけど。
D 店によるんじゃないかな。いくら整理したって棚は乱れるんだから、忙しい時に直してもらってると嬉しいけどね。
C 平台はお客さんがいちばん手に取る場所だから、乱れて当たり前だし。
D (2)みたいに、帯がゆがんでたりスリップが出てたりするのを自然に直されると好感持つよね。さすがに(1)の平台まできちきちやられてると大きなお世話かなという気はするけど。
A でも実は(7)が正解だったりして。
B なんだ、そんなことでいいんだ。わかりやすいねえ(笑)。
C なんで妹の友達なんですか。
B 妹じゃ駄目なの?
D 気に入られて、「お前の妹、今度連れてこいよ」とか言われたら嫌じゃない。妹の友達だったら、「今度妹に聞いてみます」って逃げられる。
A あえてワンクッション置くんですね。
D「すみません、彼女、留学したらしいんですよ」とかごまかせるしね。そこまで考えなきゃ。
C マイナスなのは、(8)「訪問をあきらめる」かな。
D いや、それもありかなという気はするけどね。時間の無駄ってこともあるから。
A そのルートに十軒書店があったとして、そのお店が四軒目だった場合、行くたびに嫌な思いをしてたら、残りの六軒に行く気力がなくなるわけですよ。だからはずしちゃってもいいかもしれない。
B 無理して次へまわる気力がなくなってもしょうがないしね、意外に高得点かも。
D 客注があったら電話せざるを得ないんだし、自社が売れる本を出せば、必ず向こうから電話はくるんだよ。
A 真実ですね。

問3 企画会議に出たら、案の定つまらない企画ばかり。特に編集長が気合を入れて推している企画が一番売れそうにない。どうする?
(1)反対意見を挙げ、どうにかその企画を止める
(2)書店で「売れないと思うんですけど…」と正直に言う
(3)POPや販促アイテムを作り、必死に営業する
(4)関連商品のデータで煙に巻く
(5)出たことを忘れる
(6)自己催眠をかける
(7)山に捨てに行く

――ええと、問3は社内会議編。これもよくある状況かな。
D 一見まともすぎてポイント低そうだけど、(3)みたいに、売るために必死に努力するのが本当は大正解なんだよ。どんなつまらない本でも、与えられたタマで勝負するしかないんだから。エスキモーに氷を売るのが営業だよ。
――(1)は?止めて、もっといい企画を出せばいいんじゃないの。
D だったら営業じゃなくて編集になればいいんだから。
A ダメ出しはできるんだけど、違う答えはなかなか出せないんですよ。
B 代替案は難しいよね。
D 実際つまんない本が山ほど売れてるんだから、どんな本にでも読者はいるんだよ。編集長がそこまで推すなら何かあるんだろ。
B 誰かが気に入ってるから出てくるわけでしょ。まあ点数あわせってこともあるだろうけど。
C その可能性は大いにありますねえ。
A (2)はどうですか。
D 正直でいいとは思うけど、点数は低いなあ。自社本の悪口は言っちゃいけないよ。「ダメなんですよ、編集がボケで」とか。酒の席ではともかく、よほど深いつきあいじゃない限りは禁句。ねえ。
A こっちを見て言わないでくださいよ。
D どうせ言うなら(4)だね。とにかくあらゆるデータを調べあげて煙に巻く。全然内容は関係ないのに、大ベストセラーとタイトルが似てるってだけで、「あれがだいたい十五万部ですから、そうですね、初回は七十くらいで」。
A 著者の名字が同じとか(笑)。
D 「あの××さんと同じ名字なんですよ、××さんファンって多いんですよね。どうせ下の名前なんか読者は覚えてませんから」と、客まで騙しちゃう。これは高得点をあげたいね。
A (5)の無かったことにするっていうのも惹かれますけどね。いっさい営業しない。
B 自分専用の営業用紙から、その商品をけずっておく。
D 山に捨てに行くとかな。あとはもう(6)の自己催眠しかないね。
A 「売れる売れる…」って。
D どんなくだらない本にも褒めるところはあるんだからさ、たとえば「装丁を見てくださいよ、装丁だけは負けませんから」とか。
B 昔あったよ。「げっ」って言うようなひどい装丁の本なのに、「いや、かえって目立ちますから」って(笑)。妙に説得力がある。
D 「売れないんですけど、この本を一点平台に積んでおくと、周りの本が目立つんですよ」(笑)
A 「ためしに置いてください、周りの本が売れますから」
D なんか最近文芸書の平台の調子がいいなあ、あれが売れ残ってるけど、縁起がいいから置いとくかって。
D 売れないんですけど、いろいろメリットがあるんですよと。
B 棚に置いておくと肩こりが治るとか(笑)。
C 実売り上率は上がらないけど、返品率も上がらないからいいですよね。
D そのうちショタレになって返品できなくなる。
A うーん、まだまだ方法はあるんだなあ。勉強になっちゃった。
D 自己催眠は高ポイントだね。
B 本人がかかってたら、書店員もかかっちゃうもんね。
C 一番高得点をあげたい。

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