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【更新日】2006年6月16日(金)
乱読道場千本ノック

 永遠の新人・藤原ちからも入社してはや1年。未だ彼にできることはといえば、日々、ささ家のぶりてり弁当(525円・大盛りサービス)を食べることだけであった。見るに見かねた「本の雑誌」の総帥・浜本は、POP姫の元で修行させることに。実はPOP姫とは世を忍ぶ仮の姿、何を隠そう、彼女こそ、一子相伝の乱読流家元書店員・高橋美里だったのである。単行本も文庫もノベルスもひっくるめたオールジャンルの課題本が、話題の新刊からあの名作奇作まで、推薦コメント付きで次々登場!
  命短し恋せよ乙女、乱読道場いよいよスタート!

今回の本
 
今回の本 『白戸修の事件簿』
大倉崇裕
双葉文庫
680円(税込)
発売日:2005年6月
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Amazon.co.jp
本やタウン
 
POP姫コメント 〜ときわ書房聖跡桜ヶ丘店の書店員。POP姫コト高橋美里さん〜
   
白戸くんは大学生。よく中野でみかけますがあまりにお人好しすぎてしょっちゅうトラブルに巻き込まれています。そんな困った体質ですが、さくっと解決していくので、どうか見守って下さい。読み終えるとやさしい気持ちになりますよ。
 

 

このところウェブ連載「助っ人クロコダイル日誌」(関口鉄平)が凄まじいスピードで更新されている。何かいいことでもあったのか、あるいは気温の上昇にともなうリビドーの疼きを抑えられないでいるのか、ともかく若いっていいなー、なんて思っているとそ鉄平が見下すように言うのであった。「藤原さんは更新しないんですか。ぐふふ」

うるせえ。俺だって読んで書いて前進したいのである。しかし、仕事が溜まっている上にワールドカップが重なってほとんど寝ていない(どちらも自分が悪いから文句も言えない……むう)。おまけに育ちの良さが災いしてか、高尚に物事を考えてじっくりと慎重に生きていくタイプだからつい悩んで筆が進まない、ってなことだって当然ある。それが人間というものであろう。人間だもの。さらにさらに前回の原稿を読んだ友人からは「うわ、気持ちわる。これでお前、もう長澤まさみみたいな美女には見向きもされなくなったな、うわはは」と嗤われ、あかんっ、ついうっかり妄想なんぞにとらわれて暗い過去を露呈してしもたっ、うわー! まさみたーん! などと激しく後悔して畳の上で身悶えしていたのである。この傷つきやすい内面というものが君に理解できるというのか、鉄平。だからつまり、要するにだ……あんまりいじめないで、優しくしてね。ぼくは褒めて伸びる子ですよ。仲良くしましょう。


そんなわけであまり深く考えず、どんどん読み進めていくことにします。多少の粗相はお許しください。

さて今回は鉄平くんも大好きな(まんだらけがある)中野駅北口を舞台にした大倉崇裕『白戸修の事件簿』(双葉文庫)です。白戸くんが次々と事件に巻き込まれ、アウトローな世界を垣間見る、という連作短篇ミステリ。で、中野駅北口ってのが事件発生のスイッチみたくなっている。白戸くんが中野に来ると、<あっち側>の世界への扉が開く、という仕掛け。

面白いのは、この白戸くんが主体性ゼロのへなちょこ大学生ってことです。優柔不断でお人好し。でも、妙に正義感があって相手がどんなヤクザまがいの人間でもその心意気に応えようとするから憎めない。しかも時々急に名探偵ぶりを発揮。やるじゃん、白戸くん、とちょっと見直しちゃったりもするのです。

しかし、なかなかどうしてこの白戸くん、まわりの人間の力を引き出すのがうまい。一見頼りない足手まといのパートナーにしか見えないのに、白戸くんと組んで事件に立ち向かう人間は、そのポテンシャルをいかんなく発揮できるようになるのです。ほっとけないからか? これはほんと不思議。究極の甘えん坊キャラですね。見習うべき点が多々あります。全国の甘え系男子にとってこれは必読の書でありますぞ。

強いていえば、颯爽と現れては疾風のように去っていく闇の義賊・山霧純子さんの登場シーンをもっと見たかった。かっこいいんです。続編に期待。


P.S.
ちなみにこれ読んで社長が一言。「長澤まさみって、誰?」

 

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