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| ■8月12日:第3回 |
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8月8日のUFO東京ドーム大会「LEGEND」、小川直也vsマット・ガファリ戦を見たんですが、一言マイク・アピールしてもいいですか、お客さん。 まず、そもそも「格闘技世界一決定戦」と銘打った試合が、元柔道世界チャンピオンvs元レスリング銀メダリストという組み合わせで行われるのはいかがなものか。 ぼくみたいな前時代のプロレス・ファンというのは、プロレスこそが最強であると頑なに信じ込んでいるわけです。世間の名誉や名声ならば五輪のメダリストやボクシングの世界チャンピオンが上なんだけど、でも格闘家として一番強いのはプロレスラーだぜ、一緒にやらせればレスリングや柔道のアマチュア選手なんか相手にならんのだぜと確信している、またはそう思い込みたいわけですよ。だからこそ、アントニオ猪木は、モハメッド・アリやルスカといった“名誉種目のチャンピオン”たちと闘い続け、プロレスラー最強説を証明しようとしてきたわけですよね。 それがですよ、よりによってアントニオ猪木プロデュースの格闘技世界一決定戦のカードが、柔道王vsレスリング王という“名誉種目同士の異種格闘技戦”でいいんだろうか、という疑問がありまして。そっちの連中よりもプロレスラーのほうが強いことを証明しなきゃいかんはずなのに、結局そっちの権威頼みかよと、納得いかんのです。 まあ、一歩譲って、小川直也は今はプロレスラーなんだからいいじゃん、ということにしましょう。しかし、なんですか、あの試合は。小川のパンチが一発当たったら、相手は鼻血吹いて戦意喪失、一発KOでおしまい。 元柔道王者と元レスリング王者の対決がパンチ一発で決まりって、これを喩えて言うならばですよ、平泳ぎのチャンピオンとバタフライのチャンピオンを自由形で対決させてみたら、片方が飛び込みに失敗してプールの床に頭を打ちつけて終わりみたいな、そういう試合ですよ、あれは。和食の鉄人と洋食の鉄人を対決させてみたら、なぜか中華の前菜で決着が付いてしまった、みたいな話ですよ。 あれじゃ、ジャイアント馬場vsラジャ・ライオンの一戦とたいして違わないんじゃないかというのが率直な感想でした。古いか。
本の紹介に行きましょう。 門馬忠雄『ニッポン縦断プロレスラー列伝』(エンターブレイン)。 この本、ものすごく面白い。労作です。日本人プロレスラー総勢365人を出身都道府県別に分けて収録した「プロレスラー人名事典」であると同時に、「日本プロレス50年史」とでも言うべき貴重なエピソード集になっています。500ページを越える大ボリュームで、現役レスラーだけでなく、力道山から、サンダー杉山、ミスター珍といった懐かしい名前まで完全網羅されています。 じつというと最初は、最近のプロレスラーの基礎知識を仕入れたくてパラパラとめくってみたんですけど(菊田とか村上とか、よく知らないもんで)、いざ読み始めたら、昔のプロレスラーの話が断然面白くて、なつかしくて、止まらなくなってしまいました。 長年プロレス記者として現場で活躍してきた著者が、自ら体験し、目撃してきた生身のレスラー列伝だけに、紹介されるエピソードも生き生きしていて、人間くさいものばかりです。 たとえばジャイアント馬場は、涙が出るほど辛いまんじゅうを駆けつけ3個食べないとインタビューに答えてくれなかった。馬場さんのこういう茶目っけたっぷりの逸話はあんまり聞いたことがありません。三十代で糖尿病に患わされていたけど、そのことは秘密にしていたというのも初めて知りました。 ラッシャー木村なら、新日本に殴り込みをかけたとき、猪木ファンが自宅にまで嫌がらせをして飼い犬がノイローゼで円形脱毛症になったとか、最近はめっきり酒が弱くなって「焼酎のお湯割りを手に持ったまま、居眠りをしてしまう」とか。 プロレスラーという難儀な異人たちへの愛情にあふれた一冊です。 小川直也とガファリの一戦の3日後、今度は新日本プロレスの「G1クライマックス決勝戦」をテレビ観戦しました。また『ニッポン縦断プロレスラー列伝』をパラパラとめくりながら。 脱力しました。なぜ新日本が崩壊寸前にあるのかがコンパクトにわかるようなセレモニーでした。現在のプロレスそのものより、昔のプロレスを語った活字のほうに高揚してしまうのは、たぶんこっちに若者指数が足りないからでしょう。プロレスはプロレスで信じる道を突き進んでください。取り残された者は思い出を食べて生きていきます。 ……と言いつつ、またいい試合をひとつでも見れば、コロっと気持ちが変わるんだけどなあ。頼むぞ、ホントに。 |
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