|
|
|
|
|
||
| ■1月29日:第14回 |
|
1月26日、大阪国際女子マラソン。身長150センチの野口みずきが、前年優勝者で足の長いキプラガト(ケニア)を置いてきぼりにしていくシーンを見ながら、思い出したことがあります。 ケニアの選手はなぜマラソンに強いのか。 もう1年以上前になると思いますが、デンマークの研究者がこのテーマに取り組んだ番組がNHK教育テレビで放送されていました。 その内容が私には衝撃的だったんですよ。あまりにも衝撃的だったため、いまだに信じることができず、その後の追加研究が出ないものかとずっと気にしているんですが、どうも聞こえてきません。 紹介しましょう。なぜケニアの選手はマラソンに強いのか。デンマークの研究チームの調査リポートはこうです。 1 生理学的に長距離向きなのではないか。心肺機能や筋肉の質がマラソンに向いているではないか。 まずはこれを調べました。ケニアと自国のマラソン選手を比較したのです。ところが、最大酸素摂取量も、速筋や遅筋などの筋肉繊維の組成も、差が出ませんでした。要するに、酸素を取り込む能力も、それを燃やしてエネルギーを得る効率も、差がないことが判明したのです。 2 生活習慣が違うからじゃないか。ケニアの人たちは子供の頃からたくさん走ったり歩いたりしているからだろう。 これも調べました。ところがやっぱり違いは出ませんでした。長い距離を歩いて学校へ通ったりする子供もいるにはいますが、全体を比較してみたら、なんとケニアの子供のほうが自国の子供よりも運動量は少なかったそうです。 3 ならば、あれだろう。ケニアの人たちは普段から高地を走り回り、酸素の薄いところで生活している。そうするとヘモグロビンの濃度が上がり、酸素の運搬能力がアップし、マラソンには有利になる。1年じゅう高地トレーニングをやっているようなものだ。 これも調べました。ところがやっぱり違いました。血液中のヘモグロビン濃度も差はなかったのです。それどころか、普段から高地で生活している人は、高地トレーニングをしても効果が出ない分、普段低地で生活している人に比べて、マラソンをやる上で不利になる可能性すらあるというのです。 えっと、ここでひとつツッコミを入れておくと「ケニアの人たちは1年じゅう高地を駆け回っている」という先入観も、すんごい失礼な話ですよね。 確かにケニアは高原が多いのかも知れませんが、高地生活がマラソンに有利になるのなら、チベットから一流のマラソン・ランナーが出るべきでしょう。ヨーロッパならスイスのアルプスあたりから出るだろうし、アメリカ大陸にもケニアより高地なんていくらでもあるはずです。 ケニア=高地、というのがすでに曲解というか、偏見という気がします。日本も飛騨山脈のあたりからマラソン選手をスカウトしてきたらどうでしょうか。と書きながら気付いたけど、そういえば高橋尚子は岐阜県の出身だ。 話を戻します。ならばケニアがマラソンに強い理由は何か。研究チームは調査に調査を重ね、ついにケニアと自国の選手の大きな違いを発見しました。結論にたどりついたのです。 それは、足の細さ、です。「ヒザより下の体積」がケニアの人たちとは大きく違っていたのです。 マラソンは延々と足を動かし続ける競技です。ヒザから下というのは、振り子の重りみたいなものです。その振り子の重りが軽ければ、運動に必要なエネルギーも少なくなり、エネルギーの消費効率は良くなります。 つまり、ケニアの選手は足が細いから燃費がいいぞ、だからマラソンに強いぞと、これが結論です。 いかがでしょうか。久しぶりに整理して書いてみましたけど、いまだにこれが本当なのかトンデモなのか、判断できません。でも、デンマークの大学教授などが何ヶ月もかけて調べた末の結論ですから、トンデモってことはないんでしょう。 そういえば、サラブレッドは普通の馬に比べて、脚がとても細いですよね。速く走るために改良に改良に重ねたら、細い脚になった。ほら、なんか上の結論も説得力ありそうな気がしてきませんか。 これ以来、マラソンや駅伝を見るたびに、ランナーの足の細さ、ヒザから下の体積が気になって仕方ありません。野口みずきみたいに、足は細くないけどかなり短い、というのもやっぱり有利なのかなあ。 |
||
|
|