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| ■5月23日:第22回 |
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ヤンキースの松井がレッドソックスのウェークフィールド投手のナックルボールに三振を喫する映像を見て、遠い記憶が蘇りました。王貞治がフィル・ニークロのナックルボールに三振した、二十数年前の一場面です。揺れながら50センチ以上ストンと落ちる、あのナックルは当時の少年たちに衝撃を与えたものです。 と書けば、ある世代より上の野球好きには通じるはずですが、確認のためにネット検索してみたところ、ニークロと王の対決の記述なんて出てきませんなあ。1979年に日本で行われた大リーグ・オールスターの特別試合だったらしいことは分かりましたが、昔のおぼろげな記憶はおぼろげなまま残しておく方が美しい、という姿勢でいますので、それ以上は調べないことにしました。 フィル・ニークロとピート・ローズ。 ぼくにとっての「二大おどろきメジャーリーガー」はこのふたりでした。やっぱアメリカはすげえぜ、日本の野球とは違うぜ、と感じさせてくれた投と打のスーパースターです。すごいというより、日本では見たことのないボールやフォームを駆使する選手、という点で強く印象に残ったんだと思いますが。 そしたら、それがどうなったか。 ピート・ローズはやがて、野球賭博がらみで野球界から永久追放されました。ニークロはナックルを投げるのに紙ヤスリを使って不正投球しているのがバレ、退場処分になったりしました。 なんだよ、そういうことかい! そうです。マイワールドにおけるメジャーリーグの投打の象徴は、仲良く手を取って失墜していったのです! えっと、ちょっと待って下さい。不正投球が発覚したのはニークロ弟のほうだったかも知れません。ニークロ兄弟はどちらもナックルの使い手で、兄のフィルは40歳をすぎても20勝し、通算318勝、48歳まで現役を続けた投手です。弟のジョーは221勝しました。 弟はポケットに爪切りを入れているのがバレ(爪切りのヤスリの部分でボールに傷を付け、特殊な変化をさせる)、兄は審判に問いつめられたときに咄嗟にポケットから紙ヤスリを捨て、それがテレビカメラに映ってしまったという状況だったと思いますが、違ったかなあ。 いずれにしろ、兄弟とも自分たちがスピッター(不正投球する人)であることは半ば公言していたようですし、向こうではバレなきゃいいみたいですよ。来日する外国人投手でもたまに疑惑を掛けられる選手がいますよね。
伊東一雄・馬立勝『野球は言葉のスポーツ』(中公文庫)。 メジャーリーグ通の人に、何かお薦めの本はないかと聞くと、たいてい本書をまず挙げます。著者の伊東一雄さんとは、昨年亡くなられたパンチョ伊東さんです。 ベーブ・ルース、ジョー・ディマジオら、往年の名選手や球団関係者、大統領などが残した名言・珍言をマクラにしながら、メジャーリーグの歴史、エピソードを綴った本です。 ●もし、私が六一本のホームランを打たなかったならば、自分にとって野球は、もっとずっと楽しいものだったろう。(ロジャー・マリス。ベーブ・ルースの最多ホーマー記録を破った七年後に) ●もし馬が食べないなら、オレはそんなものの上でプレーはしたくない。(競馬好きの強打者リッチー・アレンが人工芝でのプレーを拒否して) そして本の冒頭には哲学者ジャック・バルザンの言葉が引かれています。 ●アメリカの心を知りたいものは野球を学ぶとよい。 ううむ、含蓄あるなあ、この言葉は。 報復の死球や乱闘が当たり前で、平等をうたいながら経営陣は白人ばかりで、国内の試合なのにワールドシリーズと名付け、スピット・ボールやコルク芯入りバットなどの不正に彩られ、球場は場所によっていびつで不公正で、人気が落ちたら急に飛ぶボールを使用してホームラン記録を誕生させて盛り上げ、そのホームラン合戦をするのは筋肉増強剤でムキムキになった選手たちで………。 なるほど、確かにこれは「アメリカの心」が満載で、アメリカの心を知るには最適かも知れない。 イヤミばっかり言うんじゃないって。 |
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