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現役書店員が週替わりでおすすめ本のご紹介します。


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成田本店とわだ店/櫻井美玲
2006年10月5日
『ナイチンゲールの沈黙』
『ナイチンゲールの沈黙』

【宝島社】
海堂 尊
1,680円(税込)
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「チーム・バチスタの栄光」の続刊である。前作はバチスタ手術のピリピリとした緊張感漂う前半と、変人役人白鳥が登場してあれよあれよという間に事件が解決していく後半とのギャップがありすぎて、その落差をなかなか埋めることが出来なかったのだが、いや、新作は面白かった。

 ここ数年、めっきり白いキャンパスに向かう事がなくなったが、保育園の時に母の日の似顔絵コンクールで金賞を貰ってから、美大進学を諦めるまで、ずっと絵を描いてきた。絵に行き詰まると、必ず音楽を聞いた。BGMというよりも、曲から導かれるイメージなりが鮮明な画となって見えるので、自分の中から何も生まれない時は他力本願でプロの楽曲におぶさって作品創りをやり過ごしていたのだ。なので、ヒロインの看護師の小夜が歌を通して自分の持つイメージを人に伝えることが出来るという設定にはすんなり入っていけた。小夜とは反対に、歌を聴いた人の心の中にある憎悪を増幅させる歌唱力を持つ伝説の歌姫冴子。アルコール中毒で入院し、余命いくばくもない冴子と、彼女を支える城崎の関係も物語に深みを与えている。この小説の中では2人の力はズバ抜けて描かれているけれど、音楽から視覚野へ刺激を受けるというのは「情動の誘導は音楽や文学といった芸術の一般的な作用」だそうなので、別に私に特別な才能があるわけでも何でもないらしい。ちょっと残念。

 そしてそして何よりも、ガンのため眼球摘出手術をしなければならない少年端人がいいっ。知識だけ詰め込んだ、頭でっかちの小生意気なガキに一見思えるし、いや、実際そうなのだけれど、子供は大人以上に「大人」なんだということを改めて考えさせられる。端人のたった一人の肉親である父親は、定職にもつかずにフラフラとし、息子の手術さえお金がかかるからと受けさせようとしない非道ぶり。この父親が何者かに殺害され、臓器を取り出されるという事件が起きる。この事件の真相を追うのが本筋なのだが、先の冴子と城崎、小児病棟の子供達、小夜と端人それぞれの物語が光る。もちろん田口&白鳥コンビの謎解きの面白さもあり、お得感を味わうことができる。

 端人に限らず、子供というのは聞こえないふりをして聞いているし、見えないふりをしていてもしっかり見ているもの。子供なのに大人にならざるを得ない端人がたまらなく切なく、痛々しいのだが、ちびっこだということを忘れて惚れそうになる位にかっちょいいのだ。お姉さんはドラマ化の際には神木隆之介君を激しく希望しまふ。同室の男の子、アツシには天才子役須賀健太君をお願いします。医療ミステリと嫌厭せずに、秋の夜長に女性にぜひ読んで頂きたい一冊。そして皆さん、端人に惚れちゃって下さい。(笑)

 こうなってくると、がぜん田口&白鳥シリーズの続編が読みたくなりますね。作者さんでも、担当編集者でもありませんが、あえて言っちゃいます。
 待て、しかして期待せよ!

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