| 5年近く前のクリスマスの事。元々プレゼントに本を選ぶ事は多かったのですが、その年の主人へのクリスマスプレゼントは「賢者の贈物」にしようと思いたち、聖夜まであと数日という時に本屋さんへ行きました。あの頃の私がそうだったのですから、お客さんが同じ事を言うのは当然だと思うのですが、本は頼めば2,3日で届くとばかり思っていました。そして何の迷いもなく、賢者の贈物の絵本は出版されていると思っていたのです。
「すいません、賢者の贈物の絵本を探してるんですけど」
「賢者の石ですか?」
(ハリポタかよ! 賢者しか合ってないし…と心の中で思いつつ)
「O・ヘンリーの賢者の贈物です」
(レジに居る女の子2人が)「知ってる?」
「知らない」(聞こえてますよ〜)
この本屋には二度と来ないぞ、と誓って店を出たものの、今改めて検索してみると、絵本として出版されているのは83年に富山房さんから出ている一冊のみ。短編集や、傑作集として出ているものがほとんどなんです。なので、店に在庫がなくても当然だったわけで。お話そのものを知らなかったのは…今となっては私だって書店員としてまだまだ知っている本よりも知らない本の方が多いのですから、当時の様にどうして知らないのよっ、とはもう怒れません。
その帰り道、何気なしに古本屋さんへ立ち寄ると、奥さんありました。あったんですよ。いえ、さすがに絵本は見付かりませんでしたが、なんと私が生まれた53年に発行された評論社の『世界名作シリーズ O・ヘンリー短編選 二十年後ほか』をたった50円で手に入れちゃいました。世界の名作をわかりやすい脚注で面白く英文で読みましょうという、いわゆる参考書。前の持ち主が引いたアンダーラインがばっちり残り、おまけに英語の先生らしき人からのメッセージ付き。(前の持ち主はどうやら林さんという女性らしい)書き込みがしてあろうがなかろうが、あの膨大な本の山の中からこの本に出逢ったなんて、これを運命と呼ばずして何と言うんでしょう。
そんな訳で意気揚々と買って帰ったのはいいものの、このままではプレゼントになりません。ワタシ、訳しました。たった13ページを半年かけて訳し、挿絵も自分で描き、フォトアルバム用のキットを使って自分で本にしたんです。もちろんその年のクリスマスには間に合わなかったので、次の年へ持ち越しです。まさにこれがデラと同じ無償の愛…なんて満足していたら、やらかしてました。物語の冒頭で、デラが買い物をする度に値切って少しずつ銅貨を貯めるというシーンがあります。「vegetable man」はベジタブルマン。もちろん八百屋のおじさんの事です。でも、何を思ったのか、私が書いていたのは「八百長」(広辞苑によると、明治の初め、八百長という八百屋が、碁の手合わせが常に一勝一敗になるようにあしらっていたことから、なれあいで事を運ぶ事を指すようになったとあります)八百長が八百屋さんだったことがまず驚きですが、無償の愛がなれあいではいけません。
クリスマスなんてまだまだ先なんて思っているとあっという間に来ますよ。(青森は初雪の心配もしなくちゃいけません)9月から児童書の担当も兼任している櫻井からのお願いです。贈り物にする本の御注文はどうぞお早目に。
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