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三省堂書店大宮店/下久保玉美さん

2007年1月25日

『スプリガン』
『スプリガン』

【 小学館 】
皆川亮二
630円(税込)
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 10代の頃読んでいたコミックが文庫になっているのを見ると、つい懐かしくて手にとってしまう。そのコミックが品切重版未定、要するにほぼ絶版で探していたものや内容はすごーく覚えているのにタイトルが思い出せないものだとなおさらで。『スプリガン』は探していたものなので、出たときは本当にうれしくて箱から出るとすぐ自分用に取り置きをした。

 このコミックは現代よりも文明が発達していた時代に蓄積された知の遺産が眠る遺跡をめぐって、それを軍事利用しようとする集団から遺跡を守る団体「アーカム」と所属するS級特殊工作員「スプリガン」の戦いを描く。知の遺産というと、例えばあのノアの方舟は「大気調節装置」で発動させれば地球をとりまく酸素・二酸化炭素やオゾン層を自由に調節し、降り注ぐ紫外線の量をコントロールすることができる。聖書にある洪水伝説もこれが発動したからだと。

 こういう超古代文明ものが好きで他にも「オーパーツ」、「賢者の石」、「オリハルコン」、「龍穴・龍脈」、「マヤ文明は宇宙人が作った」とかとか…、うっとり。しかし、悲しいかな、超古代文明の残した知の遺産もそれを使う人間によって善くも悪くもなるというもの。「ノアの方舟」も環境問題対策に使えばかなりの効果があるだろうが、軍事利用すれば他を寄せつけないほどの威力をもった兵器となり、人類を滅ぼしかねない。世界各地で紛争が起きている時代に少しでもぬきんでた兵器を持つことは課題であり、そのため兵器製造は金にもなるのだから、それはそれは血眼になって新技術の開発に力を注ぐというもの。

 当初、平和利用を目的に遺跡を軍事利用しようとする集団から遺跡を守る立場にいた「アーカム」も次第に遺跡の軍事利用化をビジネスとして行う方針に転向していく。「スプリガン」や一部の学者・技術者たちが「アーカム」の方針に対抗していくのだがそれは読んでのお楽しみ。

 自分よりも遥かに大きな力に接したときに、それを手に入れたいと思うのは仕方ない。しかし、自分の身の丈に合わないものを手に入れることはいつか自分を滅ぼすことにつながるのではないかと思う。人間は思うほど大きくもなければ思うほど小さくもないわけで、身の丈に合わない欲を持たなくてもきっと未来を創造することができるのだと、信じている。

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