本のジャケ買いした事ありません?私はCDほどではないにしても本を買うとき表紙に惹かれて買ってしまうという事が多々あります。「外した!」なんて後悔することもありますが、新たな作家との出会いのきっかけを作るチャンスになるので読む本がなくなると売り場をふらふらと表紙を眺めて回っています。
今回紹介する「薄闇シルエット」も店頭で目に留まったのですが、やや女性向きな表紙に買うのを躊躇しました。読んでみると表紙のイメージ通りではあったものの、表紙のイメージほど女性向ではなく男性にも読んで欲しいと思える作品でした。
主人公ハナは37歳友人チサトと始めた古着屋の経営は順調、恋人タケダくんとの関係もそれなりに上手くいっていたかに見えたが、友人たちに「これからどうするんだ」と聞かれタケダくんが「そりゃもちろん結婚するんだよ」という一言を発してからハナのなかで“なんかつまんねえ”という思いが湧いてくる。ここから周りに変化が起きハナが結婚とは?仕事とは?と惑うお話。
恋愛・結婚についても書きたいところですが、今回は仕事について書きます。
共同経営者のチサトと二人で苦労しながらイギリスを中心としたヨーロッパにこだわってきた古着屋。自分と同じ考えをしていると思っていたチサトが突然中古ブランドショップの立ち上げを決め戸惑うハナ。
店を始めた当初アンチ中古ブランドショップというこだわりを持ってやってきたのに「かわろうと思ったらセレブ西田(作中の中古ブランドショップ)的なことを私たちは受け入れなきゃなんないんだよ。いつまでも趣味の延長じゃ、ずっと今のままだよ」というチサト。「仕事というのは、やりたくない事だってやらなければならないんだぞ」って若手社員に上司が説いているみたいですね。
“やりたくない事は”は“やりたくない”とはっきり言うものの、自分から“何かをやりたい”という事は無く仕事のほうもチサトに依存気味のハナに「それでも社会人か?」とツッコミを入れたくなりますが、やりたくない事をやらずに生きていけるならその方が良いし、彼女たちの状況から考えると変わらずにずっと今のままでも良いのでは?と思ってしまいます(収入が同年代男性以上らしいですからね)。
周りが変わっていく中で自分だけ取り残された不安からハナは「変わらなければ」ともがきます。そんなもがきのなかでの独白「その人はその人になっていくしかない」という諦めとも取れる言葉がハッピーエンドとは言いえないラストに余韻を残す作品です。
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