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紀伊國屋書店新宿本店/平野千恵子さん

2007年6月14日

『きみはポラリス』
『きみはポラリス』

【 新潮社 】
三浦しをん
1,680円(税込)
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発売前の新刊案内にはこう書いてあった。
“世間の注目も、原稿の注文も「あのこと」ばかり。ならとことん書いてやろうじゃないの・・・・・ということで始まった、ただならぬ「恋愛」短編集誕生!”と。

それを私は読み誤った。
新潮社さんてばなんて大胆なの ! そういう(?)レーベル持っていないのに単行本で出すとはすごいよ驚きだよ !!

どう勘違いしたかは御想像にお任せするとして、後日入荷してきた本の帯にはしっかりと「あのこと」に当たる部分が「恋愛」に変わっていた。あーそりゃそうだよね。よく考えれば当然です(ちょっと反省)。

でも。読み始めてみるとそれも実はあながち見当違いでもなかったのであった。さすが三浦しをんの書く小説、ここに収録された一話一話に潜む“ただならなさ”。はっきり言って不穏な恋愛小説集だ。

人を恋うるほの暗さ。その闇の中で淡く発光する、なのに触れれば火傷しそうなくらい熱い、誰も見たことのない深海魚のように心の奥底に沈めた静かで激しい想い。それが恋することの本質ならば、このページの向こうから吹いてくる風はとても寂しい。怖いくらいに狂おしい。
人と人が完全に解りあえることなんてきっとない。でもだからこそ解りたいと切実に願ってしまう。解らなくても一緒にいることに少しずつ意味が生まれることがあるかもしれない。いつか一緒にいられなくなる日が来たとしても、この胸に息づいている想いが消えてなくなることはたぶんない。たとえ手が届かなくても、遠くで輝く星をやっぱり綺麗だと感じずにはいられないように。

この本を読んでいて思い出してしまったこと。
恋することも愛することも実は一人でもできる。だけど「恋愛」は二人いなければできないのだね。そんなの今頃気づいてどーする自分、遅すぎだ。そして臆病な人にはきっと恋愛はできない。あと面倒くさがりな人にもね(泣)。

全体的に苦しい恋の話ばかりのこの短編集の中で、私のお気に入りはほのぼの「春太の毎日」だ。○好きにはたまらない(ネタバレになるので伏せておきます)。
私には、知りたいのに決してその気持ちを言葉にしてくれない相手がいるのだが、その彼が春太のように私のことを想っていてくれるといいなと思ってしまった。ふふふ。

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