ギリギリまで迷いました。
なんといっても私が(そしてたぶん全国のファンが)、御手洗さんに早く石岡くんの元に帰ってきてほしいと(ちょっとニュアンスが違うか)切望しているのと同じくらい長いこと待ち望んでいた有栖川有栖の江神シリーズ新作「女王国の城」が15年ぶりに出たのです!! 二段組、500P超、堪能。
はたまた愛する森見登美彦氏の、兼ねてより“毛深い”らしいと噂されていた第6子「有頂天家族」も誕生あそばしました。相変わらずの面白さです。
さらに近頃警察小説に勢いがある。謎解きよりも“ジャケットプレイ”という単語が頭をグルグルしてしまった「ビター・ブラッド」は一種の親子鷹もの(そういや昔「おやこ刑事」ってマンガがあったなぁ)。「警官の血 上下」は読み応えあり。“正しさ”とはなにか。三代に渡って警官になった男たちが、親の祖父の果たせなかった事件の真実に迫ります。
それともいつも小説ばかりなので今人気の写真家梅佳代さんの「男子」にしようかしらん。最初に開いてしまって「わっ、汚なっ!」と思わず叫んだ10枚目の写真、ぜひ見て下さい。
といろいろ考えた結果、今回は「借金取りの王子」を紹介いたします。つい先日文庫になったばかりの「君たちに明日はない」の第2弾です。未読の方はこちらからどうぞ。
リストラする側とされる側の連作短編集です。でも従来の企業小説と違うのは、主人公村上真介が内部の人間ではなく、委託された様々な企業に出向いては、クビキリの為の面接を行うリストラ請負会社の社員だということ。
普通だったら悲壮な話になりそうなものなのにこの物語にはどこか明るい乾いた風が吹いています。きっと作者に流れているに違いないラテンの血がそうさせるのかも。
村上は言っています。こんな仕事だから人に恨まれたり泣かれたりもするけれど、自分はこの仕事を納得ずくでやっているし、好きだと。
この小説を読んでちょっと元気になりました、私。本屋の仕事って結構肉体労働の部分が大きくて、年取るごとに段々体力的に厳しくなってきています。本はかなり重い。腰痛はお友達。疲れが溜まっていたりすると(あと信じられないくらい沢山の新刊が入荷してきたりすると)、いつの間にか自分を見失ってしまったりするわけです。
でもよく考えてみれば、私も大変なことはあるけど好きだから本屋で働いている。楽しいから。誰に強制されたわけでもなかった。
そんな私と村上との相違点は、彼は恋にも抜かりがないところかなぁ(笑)。
30代前半、ちょい軽の彼は恋人に8歳年上のバリバリ働く女性を選ぶのですが、見る目あるじゃんと言っておきましょう。
もちろん本当のリストラはもっと重く深刻なものだと思います。
でも、入社時に上司から言われた言葉を思い出しました。
「仕事は愛だ」(←ホントにこう言われた)
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