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WEB本の雑誌ほんや横丁横丁カフェ

現役書店員が週替わりでおすすめ本のご紹介します。


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堀江良文堂書店/高坂浩一さん

2007年10月18日

『中国初恋』
『中国初恋』

【 幻冬舎 】
さくら 剛
1,470円(税込)
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 >> 本やタウン

 困った。いきなり泣き言を書かせていただくと、この横丁カフェの原稿締め切りってwebにアップされる1週間前なんですよ。今回、私は『借金取りの王子』垣根涼介の原稿を書いていたんですね。で、締め切り当日、最終確認をし、調整をしている時にweb本の雑誌を見ていたら、私の前の週担当の平野さんが『借金取りの王子』を書いているではないですか!!「あちゃ〜、かぶってしまった」(もちろん平野さんが悪い訳ではないですよ)
もぅ、この時点で頭の中真っ白。だって、ほぼ原稿完成しているんですよ。「どうする、俺?」と自分に問いかけるも、終わりかけた原稿を諦め、次に書くべき作品なんてなかなか思い浮かばない。「パスは何回まで有効ですか?」って確認しようかと思いました。
そんな状況下で思いついたのが『怪魚ウモッカ格闘記』高野秀行(集英社文庫)だったのですが、高野さんの『怪獣記』を前々回に書いたばかり。これでは酒飲み書店員事務局長ではなく、高野秀行応援団長になってしまうと諦める(面白い作品なんですが…残念)。
切羽詰った状況で思い出したのは、酒飲み書店員のS氏が突然お店に送ってくれた、著者のサインとメッセージが書かれた本。そこに挟んであったメモ紙に「イチオシ本。差し入れです」というSさんからのメッセージ。思わず「コレだ!!」とPCの前で叫んでしまいました。
その作品が『中国初恋』さくら剛です。
 付き合っていた彼女(といって良いのだろうか?)から送られてきたメールに「中国に留学することになりました。これからは連絡を取るのは難しくなりますが…」という遠まわしなお別れメッセージ。これを見た著者が中国まで会いに行く…だけでは面白くないと南アフリカから旅をして中国まで会いに行くという無謀なで無意味な旅を始める。その先々で起こる出来事を描いた作品。
いただいた本ながら、タイトルとは不釣合いな何とも怪しい表紙にチョット不安を感じた。さらにページをめくると横組みなのにビックリ。「ケータイ小説なのか?」とさらに不安になる。
さて、そんな不安を抱きつつ読み始めると、行く先々で苦労や危険な目に遭う著者。そんな出来事を時事ネタや芸能ネタ、自虐ネタなどを巧みに使い笑いをそそる。
読み始めは、1ページに数箇所も笑いのネタ盛り込んである事にチョット引いてしまった。しかし、慣れとは恐ろしいもので、読み進むうちにこのテンポが非常に面白く感じてしまうのだ。
その笑いのネタも、タイムリーなものから昭和の香り漂うネタまで幅広く、それ故、全てのネタを理解し笑う事は難しいかもしれないが、マシンガン攻撃なので1、2発外しても十分致命傷をあたえる事ができる笑撃なのである。
それにしても、この文章は、沈黙を恐れるお笑い芸人がしゃべり倒している感じと同じように、笑ってもらえなければ読んでもらえないという著者の思いからきているのではないかと思ったりする。
そんな『中国初恋』、本書では中国にたどり着いていないのだ。
“本書が売れないと続きが出ない”なんて著者さくら剛のホームページに書いてありました。
そんな訳で、続きが気になるこの作品、店頭で数ページ読んで笑えたら最後まで安心して笑えますので買いですよ!!そして、続編を楽しみに待ちましょう!

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