年に一度のお楽しみ、お鳥見女房の3巻目が文庫になりました。
この本は、将軍様の鷹狩の鷹場を管理するお役目についている矢島伴之助の女房珠世とその家族、そしてある日突然転がり込んでくる子沢山の浪人の家族連作短編集です。
1作目「お鳥見女房」では、珠世たちの家に、5人の幼子を引き連れたやもめ男石塚源太夫と、彼に敵討ちを挑む女剣士多津が転がり込んできます。ばたばたしているうちに、珠世の夫が幕府の密命を帯び、行方をくらましてしまいます。
えーこんなところでヒキですか!と焦らされ焦らされた2作目「蛍の行方」は、お約束にも恋に落ちた多津と源太夫は祝言を挙げ、珠世の夫伴之助も任務を終え帰ってきます。というか、源太夫と多津と次男久之助がピンチの伴之助を奪還する手に汗握る展開(ちょと三角関係アリ)でこれは燃えました!
そして、「さあ幸せになろうか」という感じの3巻目。伴之助・珠世夫婦や源太夫・多津の大きな物語は解決して、話はいよいよ子供世代に移っていきます。長男久太郎に鷹好きで気性の激しい(←ツンデレですね)恵以との縁談が舞い込んだり、次女君江のお嫁入りや久之助にも気になる女性が。皆モテモテでうらやましい限りです!
一番好きな場面は、第六話「鷹盗人」の出だしです。珠世が庭の落ち葉を見つめていると、多津と源太夫の娘が話し掛けてきます。珠代は3人娘の最年少の雪に手を出すよううながして、(以下本文を引用します)
「珠世は左手で雪の手のひらを上向け、紅葉をのせて、その上から自分の右手のひらをぴたりを合わせた。
『ほら、温かいでしょう』
『温かいのは小母さまの手でしょ』
『いいえ。紅葉がね、燃えているのですよ』
『ふうん』
太陽にかざして、雪は鮮やかな紅に見入っている。」
ここからは全て私の勝手な想像です。
雪は、本当に紅葉が燃えているから温かいのだと信じたのでしょうか?生意気盛りな年頃です。もし父親源太夫に言われたんだとしたら、「やっぱり温かいのは手のひらだよ」と反論してそうです。
両親より少し距離があって、でも、尊敬信頼している大好きな小母ちゃんのいうことだから、子供ながらに「ふうん」と聞いたのではないかなあと勝手に思ってます。そんなさりげなくしみじみ感じ入るシーンが1冊に30ヶ所ぐらいあるので、何回読んでも楽しめますよ。
このシリーズは、読んでいると何故か、モンゴメリの赤毛のアンを思い出すんです。「鷹姫さま」は話が子供達に徐々にシフトしているので「炉辺荘のアン」あたりでしょうか。秋の夜長に素敵な時代小説をお楽しみください。
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