いきなり私事で申し訳ないのですが。今月こそ前回紹介した『借金取りの王子』を取り上げたかったと思うような出来事が、突然我が身に降りかかってきました。リストラ、ではないのですが異動です。ワタクシ、入社以来ずっと同じ店で働いてきた箱入り娘でございますのでちょっと動揺は隠せませぬ。なので読めばなんだか元気の出る『借金〜』を今月おススメしたかったというわけです。でもよく考えると、そうしていたら先に高坂さんに紹介されてしまっていたわけで、やっぱり世の中はなるようにしかならないのかしらん。
前置きが長くてすみませんでした。
さて今回は吉田秋生の『河よりも長くゆるやかに』をご紹介させていただきます。
1980年代に、『プチフラワー』といういわゆるフツーの少女マンガとはちょっと違った作品が多かったコミック雑誌に掲載されていました。
しかしながら現在の『バナナフィッシュ』後半以降の細い描線とは異なる、パッと見 大友○洋!?と見間違えてしまうこの絵柄、そして内容ともに少女マンガと言っていいものか。でも文句なしに傑作なのは間違いありません。これを読み返すたびに、セーラー服で(笑)立ち読みしていた(ごめんなさい!)あの頃の自分に戻ってしまうんだなぁ。
吉田秋生には、女子高の演劇部を舞台にした、いつかそして今女である自分と向き合わなくてはならない少女たちの感情を繊細に掬い上げた『櫻の園』という名作がありますが、こちらはおバカでムサい男子校ライフを送るトシ、深雪、明男の3人の日常が明るく哀しく描かれています。
私、これ読んで男子ってアホやなぁという確信を深めました。ヤルことばかり(何を?)考えてるし、大麻と聞けば吸いたがる、キレイなお姉さんの作ったお弁当を真剣にまわし合ったり、ちょっと可愛い女装姿に盛り上がったり。
でもね、見た目はノーテンキな青春を送っているようでも実はそればかりじゃない。基地の近くに暮らす彼らは結構シビアな現実を抱えていたりもする。
トシの父親は彼が中学生の時女を作って家を出ていってしまった。姉はその当てつけに学校をやめクラブで働いて、いつかいなくなるだろうアメリカ兵と付き合っている。月に一度の養育費の受け渡しは必ず手渡しでというのが死んだ母親の遺言。深雪は悪徳高利貸しの父親が本当の父親ではないことを知っている。ゲイバーでバイト、ドラッグを密売、ちょっとヤバめの斡旋。
明るいだけの毎日なんてない。屈折しない青春なんてない。いろいろあるけどそれでも負けずに傷ついた分だけしぶとく生きるのだ。
ちょっと時代が古く感じられるかもしれないけれど、若者のアホさ加減と悩みは案外今も昔もそう変わらないんじゃないかと。
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