12月に入り雑誌や書籍の新刊が前倒しで入荷するようになり「ひぇ〜」と悲鳴を上げ、仕事が終われば本屋大賞の1次投票締め切りの1月11日までに読み残した作品を慌てて読む日々。こういうのを充実しているというのか日々に追われているというのか…
そんな本屋大賞、今年は大本命不在と言われつつ話題になっているのが『サクリファイス』近藤史恵と「狙ったのか?」と思わせる候補作対象期間ギリギリに発売になった『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(どちらも横丁カフェ平野さんが紹介していますよ)共に新潮社の作品。なんだか今年は新潮社の作品が話題になっているような気が…
さて、そんな話題の『サクリファイス』の後に発売になった雰囲気の全く違う『タルト・タタンの夢』を紹介します。
ビストロ・パ・マルは下町の商店街の片隅にある小さなフレンチ・レストラン。無口なシェフ三舟、話し上手な料理人志村、中年男性に人気のあるソムリエ金子、新人ギャルソン高築の4人のスタッフが店に訪れるお客様の悩み事や問題を美味しい料理と共に解決する連作ミステリー。
スタッフたちのチョットしたやり取りから感じられる店の雰囲気や彼らの印象に好感を持ち、志村、金子、高築がお客様の抱える問題のヒントをさり気なく聞き出し、解決という美味しいところを無口なシェフ三舟がしっかり持っていく流れも悪くない。肝心のトリックもシンプルながら料理を上手くマッチさせて解決する流れも面白く読めた。
店の作りがオープンキッチンという事でお客様の様子や仕草を観察できるとはいえシェフ三舟の洞察力の素晴らしさに「そこまで見ながら料理しているのか?」や5話の「理不尽な酔っぱらい」のトリックに「ありえるとは思うけど…」といったツッコミを入れたくなったが、そういった事に目くじらを立てずに肩を張らずにゆったり読むべき作品である。
そして、この作品の魅力は何と行ってもここに出てくる料理の数々がおいしそうなこと!! こんな事を書くと、ただの食いしん坊に思われるかもしれないが、この作品を空腹時に読むと涎が出て大変な事になりますよ。
さらに、料理も美味しそうなんですが、寒くなってきたこの季節にお酒が好きな私は、シェフお手製のヴァン・ショーで温まりたくなった!残念ながらこの作品を読んだ時はヴァン・ショーではなく発泡酒を片手に読んでしまった…もう少し雰囲気を大事にして読めば良かったと読後、反省しました。
そうそう最後に、表紙もシェフ三舟のイメージに近いし、目次がメニューになっている感じも洒落ていて良いですよ。
|