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宮脇書店西淀川店/砂川昌広さん

2008年4月3日

『読書からはじまる』
『読書からはじまる』

【 日本放送出版協会 】
長田 弘
872円(税込)
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朝起きる。鞄に読みかけの本を入れる。午前中の仕事をして、休憩時間に本を読む。仕事を終えて帰宅すると、鞄から読みかけの本を取り出して、居間へと持っていく。家族とご飯を食べ、テレビを見て、その合間に本を読む。風呂に入り、インターネットをして、布団の中で眠りにつく直前まで本を読む。朝起きて、鞄に読みかけの本を入れる。呼吸するかのように、意識せず読書の時間は過ぎてゆく。僕にとって読書は日常の風景に溶け込んでいた。

ふと立ち寄った書店でこの本を見つけた。手に取って適当に開いたページにこう書かれていた。「読書というのは書を読むこと、本を読むことです。読書に必要なのは、けれども本当は本ではありません。読書のために必要なのが何かと言えば、それは椅子です」。僕は迷わず買って帰り、その晩から読み始めた。

この本では、本の読み方ではなく、本と人の間に生みだされる大切なものについて書かれてあった。読まない本の価値や、本と過ごす時間の豊かさ、子どもの本のちから、本とは故郷であり友人でもあり、本とは自ら探し求めて偶然に出会う存在であるということ。単なるメディアの一形態ではなく、本というものが特別でかけがえのないものとして、いかに本と向き合っていくべきか。それらの言葉のひとつひとつが、自分の読書のあり方を見つめ直させる。子供の頃から本が好きで、本ばかり読んできた僕にとって、本は故郷であり友人だと断言できる。だけど、いつのまにか読書を日常に埋没させてしまい、ただ消費するだけになっているのではないだろうか。

「とりもどしたいのは、日常の中で本を読むというのはこういうことなのだという、今はともすれば失われがちな実感です。そのためにも、深呼吸として、本は読みたい。わたしはそう思っています。」この本を読んで、安物だけれど読書用に椅子を買った。僕はあいかわらず時間があればどこでも本を読むけれど、まとまった時間ができた時や、お気に入りの作家の新刊を読み始める時は、この椅子に座って深呼吸をする。さあ、楽しい読書の時間だ。

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