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| 短編集の、どこからでも読め、簡単にやめられる気軽さが好きだ。とは言え、『超短編アンソロジー』(ちくま文庫)や『極短小説』(新潮文庫)を読むと、気軽さというより、奥深さを感じずにはいられない。省略を重ねた結果の「短さ」ゆえに想像力がずんずん湧いてくるからだ。解釈は読者に委ねられた感じがしてなんとも心地好い。こう考えると「短さ」はますます偉大だ。 ところで最も短い文学というと、俳句・短歌ではないだろうか。わずかな数の文字のむこうに限りない世界の広がりがみえる。まさしく、無限の広がりである。 実は、久しぶりにぶっ飛ぶような短歌集に出会った。俵万智さんの『サラダ記念日』以来の衝撃だ。笹公人さんによる『念力家族』という奇妙な題名の作品集は、「憧れの山田先輩念写して微笑む春の妹無垢なり」や「ベランダでUFOを呼ぶ妹の呪文が響くわが家の夜に」と歌われたなんともステキな妹をはじめ、残念ながら役に立たない発明に情熱を燃やす父、稀有な才能に気づかないまま不思議な現象を巻き起こす弟、家族では唯一霊感とは縁のない肉体派の兄など、ユニークで不思議な念力家族を題材にした短歌がシリーズのように次々と現れる。奇妙なキャラクターは、家族にとどまらない。金星のレナ、生徒会長レイコ、魔除け少女といったキャラクターに知らず知らずのうちに魅せられ、不思議な世界に引き摺り込まれてしまうのだ。まるで、念力にでも操られているかようにである。 笹公人さんを天才というありふれた言葉で表せれば楽なのだが、天才と称するにはあまりにも奇怪である。 あとがきによると、ここに収録された作品のほとんどは、作者が高校時代から浪人時代にかけて作られたものだという。蒼き時代の空想、妄想が鬱屈した不満をエネルギーにし、結果的にエンターテインメントとして開花した歌集を、自信を持ってお薦めしたい。 |
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