 |
 |
 |
 |
| |
|
 |
 |
| 2005年5月19日 |
|
|
『図書館の神様』
【 マガジンハウス 】
瀬尾まいこ
1,260円(税込) |
|
|
この本をパッと見て、ケッと思ってしまいました。
だって、なんとも乙女ちっくな表紙とタイトルですよ。これを見たら次のように思うしかないじゃないですか。
以下、想像。
「放課後の図書館でいつも読書をしているあの人が気になってしょうがないの。でも私なんかじゃ声をかけることすらも出来ない。だから、お願い神様、私の恋を助けて!と毎日祈っていたら、ついにチャンス到来。突然の大雨に降られて彼が困っている。私は持っていた置き傘を手に、じっと見つめていたのだけどついに勇気を振り絞って…。」
と、その後は彼が養子だったりとか、進学しようか悩んでいたりとか数々の問題がこれでもかっというほど噴出。しかしながら、そこはまあ小説の常としてなんとなく解決してしまい、結局はハッピーエンド。「きっかけは図書館!」という能天気な恋愛小説を想像していました。だから、ずっと手も出せずじまいでして。
しかしながら、ある日ふと普通の小説が読みたくなりまして、物色していたところ目にとまりそのまま購入。さてさて早速読んでみますと…。
すみません。全くの勘違いでした。深く反省しています。
恋愛小説ではないんです。確かに、主人公は不倫をしているのですが不倫の末になんとやらとか葛藤なんかに悩む男女の姿などは当然書いてありません。この小説は「再生」の物語なんです。
バレー一筋だった高校時代にクラブの同級生を自殺に追いやった(と周囲も自分も思っている)主人公がそれ以降どんどん投げやりになり、なんとなく教師に。海辺の高校に赴任して文芸部の顧問になり、たった一人の部員と嫌々活動していくうちに傷ついていた心が癒されいく、という話です。
私は「癒し」という言葉とそれを無意識に使う人が大嫌いです。「癒しの小説」という帯やコピーをみると虫唾が走ります。しかし、この小説を「癒しの物語」というのは賛成です。なぜなら、主人公は瞬間的な愉悦よりも根治を望み、ついには生まれ変わったからです。不倫の恋が実を結ぶことはない、単に未来のない悦楽を楽しんで日々を過ごすよりも、教師として成長し、また自分を活かそうとする主人公の姿がなんとも魅力的です。そしてアシスト役の文芸部部長も高校生らしからぬ味があってよいです。これこそ、本来の「癒しの小説」なのではないでしょうか。終わるのが惜しくて続きが読みたくて、最後のページが終わった後もなんかないかなと本を逆さにしたり、カバーをとったりしてしまいました。
瞬間的な効果しかもたないリラックスがなんの役に立つと言うのでしょうか?大量生産された「癒し」はもうやめませんか?もっと根本的な「癒し」が見つかるはずです。
|
|
|
|
|
|
| ●図書館の神様 |
|
|
 |
|