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第27回講談社ノンフィクション賞受賞作品。
えー、私、以前、直木賞受賞できなかったからこそ、『花まんま』ではなく『ベルカ、吠えないのか?』を紹介したことがあった。今回は受賞作品。矛盾していないか。しかし、それはそれ、これはこれ。それでいいのだ。これでいいのだ。
戦後まもない沖縄で、台湾、香港との密貿易が頻繁に行われた。
当時の沖縄は、本土や外国との貿易は禁止。生活物資や食料はアメリカ軍からの配給にたよっていた。当然物不足になる。生活のため、度胸ある住民は、米軍から物資を盗んで売ったり、密貿易で輸出入したりしてした。
その密貿易時代の代表的人物、金城夏子・ナツコを追い、「ケーキ時代」と呼ばれる混乱しているが勢いある日々を蘇らせたのが、このノンフィクションだ。
ちなみに、国境の島・与那国から台湾の米、お茶、ペニシリンなどを沖縄本島に運ぶと、その品々が倍で売れ、帰りに沖縄から煙草、毛布などを仕入れ、それを与那国島に運ぶと、それがまた倍で売れた。つまり倍の倍で元の4倍になった。
また、香港貿易の初期には、銃に用いる薬莢を運び、帰りに小麦粉を仕入れ、沖縄で売ると、なんと元の30倍にもなった。
違法なことなのだが、徒手空拳の身で、体一つ船一つで、これだけ稼げたのだ。
すごいなあ。これは。本屋というよりも商人として、単純にうらやましく思う。足りないもの欲しいものを持っていって売る。商売の原点だ。
規制緩和というか規制ぶっこわし時代の21世紀日本。飢えることや身の危険はその当時の沖縄と比べたらゼロのようなものだ。その頃の苦労と程度が違うので恐縮なのだが、大型店が次々でき、むかしからの商店街のお店はどこも大変だ。商店街の代表選手・酒屋さん、米屋さんもあちらこちらで酒、米が売られるようになり、『暴れん坊本屋さん』(久世番子 新書館)ならぬ「暴れん坊酒屋さん」「暴れん坊米屋さん」も出没しそう。
いや、中小商店だけでなく、大型店同士もつぶし合いをしている。
日本中どこでも簡単に手に入る物で商売している小売業にとっては、今はよい時代なのだろうか。この本を読んで、そんなことを思った。 |