★ まず、これまでの読書歴でいちばん強烈に印象に残った作品をあげるとすると、どのようなものになりますか?
ちょうどこの世界に入った時に読んだ、唐沢寿明さんの「ふたり」(幻冬舎)ですね。さわやかなタレント本だと思っていたら、想像とは違い、彼自身が若い時に結構苦労したということがわかる本でした。
当時、僕もまだまだ大丈夫だと強く励まされた一冊です。確か18歳ぐらいの時に読んだのですが、この頃から自分も役者になりたいと、より意識するようになりました。唐沢さんの生い立ち、環境が自分とリンクする部分もあり、なおさらやる気にさせられました。僕も学生時代は色々な経験をしましたが、唐沢さんもやんちゃな方だったみたいで、役者をめざして家出したり、宿なしの青春時代をおくったり、なんだか今のトレンディ俳優としてのイメージとは全然違いますよね。これほど役者を目指して挫折の日々が続
いていたとは……。タイトルの「ふたり」からは、本来の自分と役者としての自分がいるという意味を感じました。それほど生い立ちと今のイメージの間にギャップがあるんです。
★ 学生時代よく読んだのは?
高校生ぐらいまでマンガが圧倒的に多かったですね。「キン肉マン」(集英社)「キャプテン翼」(集英社)「ハイスクール奇面組」(集英社)や、復刻版では「がんばれ元気」(小学館)「サバイバル」(リイド社)とか。なかでも「サバイバル」は是非オススメですね。全巻買って読んじゃいました。最近は、地震や自然災害に人間が向き合って考えていかなくてはならない時代だと思いますし、もし大地震がきた時にどこまで自分だけの力で生きていけるか心配ですからね。5年ぐらい前、このマンガを読んで「世界ウルルン滞在記」へ行きたいと言い出したこともありました。僕は体も強いわけじゃなく、力もあるわけじゃないので、自給自足の生活になったら、真っ先に死ぬと思って……(笑)。でも、男たるものいざという時に好きな人を守ることができなくてはどうしようもないなと思っていたところに、念願叶い「世界ウルルン滞在記」に出演することができました。フィリピンのピナツボ火山へ行って、毎日トカゲとカエル食べるという経験もしました。
それからですね、非常事態になっても何でも食べられる自信がついたのは(笑)。もう今では、石で火もおこせますよ!それから、このマンガ「サバイバル」は、中学生の少年がたったひとりで家族を探して生き抜いていくというお話なので、涙なくしては読めません。いつかこういう作品を映画で演じてみたいです。
★ 最近気になっている本は何ですか?
歌野晶午「女王様と私」(角川書店)。まずこの本の帯にやられました(笑)。「四冠制覇の歌野が贈る、未曾有の衝撃」ですからね。本屋さんで見て、躊躇なく買いました。ジャケ買いってやつですね。タイトルがちょっと変わっていて、過激な感じが気に入りました。初めは、さえないオタクとかわいい彼女が出会って、事件に巻き込まれて恋愛に発展するという話なのかと思っていたのですが、ふたを開けてみたら、自分の思い描いていたイメージと違って驚きました。最初からストーリーに振り回されっぱなしで、「ええっ?相手は小学校6年生!?」とまず驚かされ、「あれ?妄想の会話なんだ」「えっ?妹って○○なんだ」とどんどん話に引き込まれていきました。最近多発している児童の誘拐事件を彷彿する内容なので、色々と考えさせられますし、誘拐犯人の心理は全く理解できないと思っていましたが、物語中でとはいえ、少し犯人の気持ちが理解できたような気もしました。
主人公であるオタクの、犯人を暴くための推理にも説得力がありました。
最後の数ページが、またビックリさせられて、「何この展開は何?」という感じですね(笑)。読む前は、もっと大人の恋愛を期待していました。無償の愛や女の人に引っ張り回されてズタボロになっていく話を想像していたので、想像とはかなり違う内容でしたね。僕は意外とボロボロになる話が好きなんですよ。映画とかもダメな人が活躍するような話が好きですね(笑)。奥田英朗「最悪」(講談社)も好きで、普通の人が、小さなつまずきからどんどん犯罪地獄に転がりおちる最悪の話です。不況にあえぐ鉄工所社長、セクハラに悩むOL、ヤクザに脅される男の三人の転落人生なのですが、なんとこの三人が偶然出会い、事態はもっともっとひどい方向に向かっていってしまう。やることなすことが全部最悪の方向にどんどんいってしまうんです。僕は自分自身がダメダメ男なので、ダメな人達に対してダメなところも許しつつ頑張っていこうよ、と常に呼びかけています。僕はいわば、ダメ男を応援する会会長(笑)。ダメなところは絶対に誰でも持っているので、そういうところを尊重しつつうまく活かしていける世の中になればいいなと日々感じています。そうすると、できる人達は「甘い」なんていうかもしれませんが、ついていけない人達に救いの手も必要だと思ってるんです(笑)。
★ ご自身の書かれた本「僕の眼〜こころが凹んだ日には〜」(メディアファクトリー)では、写真に詩をつけていますよね。
はい。詩を書くために、撮った写真を後から見直したりすると、なぜその写真を撮ろうと思ったのかなど、その時の自分の気持ちが分かったりするので、ある意味自分から自分へのメッセージでもありますね(笑)。僕と同じような環境で育った人達に、少しでも励みになったり、自分と共通する部分を感じながら読んでもらえたらと思います。読者はすごく幅が広くて、ファンの女の子から、おじいちゃん、おばあちゃんまでいるので、全ての年齢層のファンに、頑張れば自分も変われるということを伝えられたらいいなと思います。
今まで自分が本、特にマンガに元気づけられてきたぶん、自分自身も本を通して僕と同じ境遇の人達を含む全員に元気を分けてあげたいと思っています。
ちなみに、僕が元気づけられたマンガだと、「リアル」(集英社)、「はじめの一歩」(講談社)です。
「リアル」は、人生を投げていた車椅子の障害者が、バスケットに出会い自分の生き方を見付けていくストーリー。「はじめの一歩」はドジで優しい普通の高校生が、ボクシングに目覚める話です。どちらのストーリーも、主人公が精一杯努力して、下からはい上がっていく様がいいですね。
僕もこれからも努力を忘れずに、頑張って行きたいと思います。
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