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この週末はキャンプに行くつもりだったが、台風で中止。
かわりに、前々から行きたいと思っていたクライミング・ジムへ行ってみた。
自然の山で行うロッククライミングとちがい、屋内の壁は、最初からザイルは張ってあるし、下にはクッションやマットが敷いてあって、快適このうえなし。これなら何度でも楽しめるとはりきっていたら、5回ぐらい登っただけで、腕が利かなくなってしまった。わからん。昼間に食べた牛丼に禁止薬物が入っていたのではないか。
私はクロールの息継ぎが苦手で、長く泳ごうと思うと、どうしても平泳ぎになる。それをなんとか克服して、クロールで長距離を泳げるようになりたいので、唐突だが、スポーツクラブに入会した。思い立ったら即行動だ。
で、さっそく着替えて一目散にプールへ向かい、クロールで泳ぎだした。しかし、100mも行かないうちに気がつくと平泳ぎになっていて虚しい。原因はたぶん場の空気が悪かったせいだ。このプールはアウェイだったと思われる。
ところで、スポーツクラブはお金もかかるのに、貧乏な私がなぜクロールしたいというだけの理由で突然入会したかというと、これにはわけがある。単刀直入にいえば、仕事がちっとも捗っていないからだ。
この日記でも、小説が進まないなどと何度も書いているけれど、小説であれ何であれ、本を一冊書き下ろすときというのは、思い立ったときだけチビチビ書いていては決してゴールにたどり着かない。書くときは、寝ても覚めてもその本のことを考え、朝起きたら朝食もそこそこに机に向かいたいぐらい、就寝中も夢のなかで本に向かって意識が地続きになってるぐらいの、そのぐらいの衝動に駆られていなければだめなのである。
そして現在の私がそうなっているかといえば、NOなのだ。ということは、現状のままではいつまでたっても次の書き下ろし本は完成しない。
だったら、ここは心機一転、気持ちを切り替えて全力で執筆に邁進しよう、なんて言うのはたやすいけれど、現実の精神はそう簡単にいかないのであって、心がそういうもやもやとした状態にあるとき、あるいは頭で考えても解決策が見出せないとき、もしくは解決策ははっきりしているにもかかわらずどういうわけかその方向へ踏み出せないとき、そういうときその人に足りないのは、有酸素運動である。それも和気あいあいとみんなでやるような楽しいゲームスポーツではなく、持続的に取り組み、体力をはっきりと増進させてくれるような運動。頭で解決しない問題は、体で解決するべきなのだ。
そういうわけで、突然のスポーツクラブ入会となったわけだが、この理論の問題点は、この私が本当に持続的に通うのか、ということで、そのためには自己嫌悪で胸いっぱいになるぐらい現状にむしゃくしゃしていたほうがいいのだけれども、幸か不幸か、そこまでむしゃくしゃはしておらず、このところのだらだらした毎日がむしろ結構気に入ってたりするのは、なかなか困難な兆候と言える。まいったまいった。
祝日だけれども、エッセイが書けていないので、仕事日にしようと決心。
いまだネタを思いつかず、結局今日も何も書けないのではないか、と頭を抱えながら、仕事場へ向かおうとすると、隣の公園で、妻と子供と幼稚園仲間数家族のお父さんお母さんたちが遊んでいるところに遭遇し、少しの間立ち話になる。ついでに息子の木登りを後押ししてやったり、危険な枝を取り除けてやったりしているうちに、気がつくと自分も木に登っており、やがてふと我に返るとバット持って幼稚園児らと野球していたときには、どうしてそういうことになったのか理解に苦しんだ。やがてお母さん連中が買ってきたハンバーガーを、幼稚園児と一緒に食っている自分を発見するに及んでは、己の意志の弱さにほとほとあきれ返った。そうして、お父さんお母さんたちと、キャンプやハイドロスピードの話なんかして、愉快な気分で帰ってきたのである。
いいニュース。早明浦ダムは、少しだが貯水率が回復。本日0時時点で、6.3%。
ミシェル・レリス『幻のアフリカ』(河出書房新社)読了。時間がかかった。
本屋で、漫画家のしりあがり寿が『人並みといふこと』(大和書房)というエッセイ集を出しているのを知り、『なみのひとなみのいとなみ』(朝日新聞出版)となんだか似ているので、買ってみた。そうしたら、値段も同じで、表紙の配色も似ているうえ、さっそく10年前に会社を辞めたとか書いてあって、そっくりじゃないかと困惑した。私より、しりあがり寿のほうが何万倍も有名であり、まるで私の本が二番煎じみたいである。納得いかないので、読者は、ぜひうっかり間違えて私の本を買って欲しい。
ちなみに、『なみのひとなみのいとなみ』のタイトルを考えたときには、次のような案もあったのだった。
「なみなみならぬひとなみ」
「中型で並みの強さの平社員」
「明日への不手際」
「どこかにある誰も働かなくていいの国」
この最後のは、願望でもある。
午後から鎌倉へ。会社勤め時代の後輩に女の子が産まれ、そのお祝いにかつての同僚と連れ立って出かけた。今年38になる彼女は、ずっと前にバツイチになって以降いい人がいないと嘆いていたが、去年ひとりで小笠原旅行に出かけ、旅先で男を見つけて速攻で結婚、もう出産である。いまだ知り合ってから一年たっていないというから、早い。旦那にしてみれば突然の竜巻に襲われたようなものだろう。人生一寸先は...じゃなかった、何が起こるかわからないものだ。お祝いのお礼に、栗をいっぱいもらった。
その後、湘南モノレールに乗って帰る。
懸垂式のモノレールは、駅や車体が見るからにハリボテっぽく、おもちゃのようでもあり、またSFっぽくもあり、交通機関のなかで一番好きかもしれない。女子高生がいっぱい乗っていた。アパートの屋根すれすれを通りながら、自分の真下を車が走っているのを見下ろしたり、路地みたいな狭い路の上をゴトゴト運ばれていく風情は、シュールで素敵。この味わいは、ウルトラセブンの背景にぴったりという気がする。そうして、ゴトゴトゴトゴト古い車体を軋ませながら、みんなで夕暮れの空をパラレルワールドへ移動していった。
昨夜、傑作と名高い飯嶋和一『始祖鳥記』(小学館文庫)を読んで興奮。おかげで頭が冴え、眠れなくなってうんざりしていると、不意に脈絡もなく、サブカル・コラムのアイデアを思いつく。ナイス『始祖鳥記』!
眠い頭で朝仕事場へ行き、さっそくサブカル・コラムの下書き。
午後、スポーツクラブへ行って泳ぐ。1200m泳いだが、クロールで泳いだのはやっぱり最初の100mだけで、あとはずっと平泳ぎだった。どうしてもそうなる。どうやら私は、クロールで泳いでいると、見える景色が狭く、とても窮屈なところに押し込められているような気がしてきて、ぶはあっ、と顔を出したくなるようだ。その点、平泳ぎは、ぶはあっ、ぶはあって視界良好なのがいい。
『幻のアフリカ』をネタに、書評原稿を書く。近年稀に見るスピードで書き上げ、自分でも驚く。昨日のサブカル・コラムもいっしょにフィニッシュ。めざましい一日だった。早くも有酸素運動の効果か。
本日0時の早明浦ダム貯水率、8.7%。
浅間山麓へキャンプ場に行く。
前々から群馬県でキャンプしたいと思っていたのだ。
関越を北上し、上信越に入ると、前方に峨々たる山々が山水画のような風景が見えてきた。これこれ、これが見たかったのである。日本でホンノンボ的な風景といえば、まず妙義山であろう。ベトナムの盆栽ホンノンボに入れ込んでいる私としては、この山だけは見ておきたかった。いずれ、登りたい。
そうしてさらに、これも一度行きたいと思っていた鬼押し出し園にも行く。さびれまくった観光地で、時代から周回遅れの風情があり、心和んだ。ずっと昔からやっているしょぼい観光地の魅力に、最近ハマっている。貧乏が高じて、つげ義春のような性格になってきたのだろうか。中国人観光客がいっぱい来ていた。
ところで、オートキャンプというと、昔はたいそう毛嫌いしていたものである。車の横でキャンプ? けっ、それは男のすることなのか? みたいな気分だった。しかし今ではそういう考えはすっかり改めた。もはや男のすることであろうとなかろうとどうでもよく、ホテルや民宿に泊まるより断然安いという点で、オートキャンプは買いだ。家族4人で1泊3000円!
夜になり、寒い寒いと思っていたら、隣のキャンパーは、寒さ対策としてテントの下にダンボールを敷いていた。なるほど。ダンボールハウスまであと一歩だ。
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